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2010年11月30日 (火)

美術:芸大美術館「ラグーザと荻原碌山」展

  名称   明治の彫塑 ラグーザと荻原碌山
  会場   東京芸術大学大学美術館
  会期   2010年10月23日(土)~12月5日(日) 、詳細は要確認
  鑑賞日  2010年11月27日(土)

 

 日本近代彫刻で重要な役割を果たしたラグーザと荻原碌山に焦点を当てる。ラグーザは、彼が指導した弟子達の作品も展示して美術教育のあり方を回顧する。荻原碌山は、「女」像の石膏・ブロンズ像を複数展示して彫塑に関する種々の問題や技法を浮き彫りにする。

 展示は次の2部で構成される。 

   第一部 ラグーザとその弟子たち
   第二部 没後100年 荻原碌山

 

 第1部、「日本夫人」像に引き付けられる。左胸をはだけた勝気な顔立ちの夫人像は、黎明期の具象彫刻として強烈な印象を放つ。石膏・ブロンズ像が展示されるが、両者の雰囲気は随分違う。石膏像は鮮明でブロンズは重厚、同一軸上の印象にはなっていないが。左胸がはだけているのは、襟部分のパーツが壊れたからとのこと。

 最近は、大型の現代作品を見る機会が多いので、反って具象彫刻が新鮮だ。他の作品にも惹かれる。多くの作品は、石膏・ブロンズ像が展示されている。このような機会は貴重だ。ただ、弟子達への教育の成果は具体的に把握できなかった。図録が販売されているのは承知するが、数ページのリーフレットが鑑賞の役立ちそう。

 

 第2部、何回も見た作品が多い。「トルソー」、「デスペア」、「坑夫」、「文覚」など。
 圧巻は「」像。1910年石膏像、1910年鋳造ブロンズ像、1954年複製制作石膏像、1971年鋳造ブロンズ像、2010年ディジタル処理樹脂像、2010年鋳造ブロンズ像が一室に展示される。差異はあるはずだが素人目には定かでない。
 版画でも刷りが進むと線にシャープさがなくなるそうで、彫刻でも似たようなことはあるだろう。判らくとも、オリジナリティの観点から面白いと試みと思った。

 

 帰りに谷中墓地で川上音二郎顕彰碑を見つける。形が少しおかしいと思ったら、銅像部分が金属供出で無くなっているそうだ。多くの像を観てきたばかりで、平和が何よりだと思った。

 

注1:東京藝術大学大学美術館ホームページより引用

 イタリア人彫刻家ヴィンチェンツォ・ラグーザ (Vincenzo Ragusa, 1841-1927) は、明治9年に開校した工部美術学校に招かれ、日本にはじめて西洋彫刻を伝えました。ラグーザは明治15年に帰国しますが、その間日本でも積極的に制作し近代日本彫刻の基礎を作りました。没後の昭和8年、来日中および帰国後の作品が妻清原玉から東京美術学校に寄贈され、今日、そのコレクションは明治初期の西洋彫刻受容の経緯を知るうえで貴重な存在となっています。この展覧会では、ラグーザ芸術だけでなく工部美術学校での美術教育のあり方にも注目していきます。

 一方、荻原碌山(1879-1910)はラグーザの来日から30年を隔てた明治後期、パリでロダンの「考える人」をみて彫刻家を志しました。パリのアカデミー・ジュリアンで勉強し、明治41年に帰国。明治43年に没するまでのわずかな活動期間でしたが、碌山の作品は日本の近代彫刻に新しい風をもたらしました。2010年は碌山の没後100年にあたる記念の年となります。この機会に、展覧会では碌山の芸術を検証するにあたって、とくに絶作「女」に焦点を当てて、石膏原型と複数のブロンズ像との比較、そして新たに石膏原型から鋳造するブロンズ像の制作過程もくわしく紹介いたします。

   (2010年11月30日記録)

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