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2010年11月15日 (月)

能楽:APEC横浜開催記念 横浜能楽堂特別普及公演

   番組  狂言「呼声」
          シテ(太郎冠者) 山本東次郎
          アド(主)    山本則重
          アド(次郎冠者) 山本則俊

       能「羽衣」和合之舞
          シテ(天人)   関根祥六
          ワキ(漁夫白龍) 宝生閑
          ワキツレ(漁夫) 則久英志
          ワキツレ(漁夫) 御厨誠吾

   会場  横浜能楽堂
   公演  2010年11月13日(土)
   鑑賞  2010年11月13日(土) 14:30~15:30(休憩なし)

 

 警戒厳しいAPEC会場であるみなとみらい地区の西側に位置する掃部山、APEC会場周辺の喧騒が這い上がってくるほどの距離に横浜能楽堂があります。掃部山には、横浜等の開港を決断した井伊掃部守直弼の銅像が港を睨んで建っています。

 森鴎外作詞の横浜市歌の一節に「むかし思へば苫屋の烟 ちらりほらりと立てりし處」とあります。私が子供から青年に至る時期は、大きなクレーンが林立する三菱重工横浜造船所が威容を誇っていました。その後高層ビルが建ち始め、今に至ります。掃部山から見える光景は激しく変化し続けています。
 道を隔てて神奈川県立音楽堂もあります。ついでの折にでも立寄ってみませんか。

 いきなり横道にそれましたが、APEC横浜開催記念などとは意識せず、能「羽衣」を見たくてチケットを購入しました。当日は数十人程度の外人さんが来場していました。冒頭の横浜市長の歓迎挨拶、休憩無しに狂言・能が演じられて一時間と短いこと、ロビーなどにAPEC関係者と思われるスタッフやボランティアが多数いたことなどが、通常公演と異なるところでしょうか。(写真は、プログラム表紙・裏表紙)
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 狂言「呼声」、大蔵流山本家の重鎮達による。

 内緒で旅行に出かけた太郎冠者が戻ったことを知った主人は、懲らしめるために次郎冠者を連れて太郎冠者の家に出向く。次郎冠者、主人が呼びかけても、太郎冠者は他人をよそおって、太郎冠者は留守だと答える。一計を案じて次郎冠者は平家節で呼んでみるがやはり留守だと。次に小歌節で、次に踊節呼んでみると、浮かれた太郎冠者が躍り出てくる。

 小品ながら惹きつけられる作品でした。狂言は滑稽な作品が多いと思いますが、節が加わり踊りだすことで滑稽さはさらに増します。山本東次郎の太郎冠者はじめ、山本家の面々が味わい深い雰囲気を醸し出していました。技の深奥が判るわけではありませんが、どっしりと演じながら面白さが充分伝わる点を素晴らしく感じました。古典でありながら新鮮さを感じました。
 外国人に対しては同時解説をしていたようです。しかし、なかったとしても日本の伝統芸能の良さが充分に伝わったと思いました。

 

 能「羽衣」、シテは観世流関根祥六、80歳。

 各地の天女伝説にはいくつかのヴァリエーションがある。「羽衣」は、漁夫白龍に羽衣を拾われた天女が、還して貰うお礼に舞いながら天に帰っていくというシンプルなストーリー。羽衣を還す時、白龍は舞ったら還すと言い、天女は羽衣を還して貰えなければ舞えないと言う所がポイントだろう。

 「羽衣」は初めて観る。脇正面で観るのも初めて。何となく惹かれるものが少なかった。うまく説明できないのだが。脇正面は情報量が少ないのだろうか、視覚からストーリーが浮かび上がってこない。残念ながらここまで、何とも感想がまとまらない。

 ただ、記憶に残ったのが天女の言葉。羽衣還すことを疑う白龍に「いや疑は人間にあり。天に偽なきものを。」だ。外国人のお客さん、すなわちAPEC関係者には伝わったかな。

   (2010年11月15日記録)

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