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2010年11月27日 (土)

読書:最近の読書から(2010年11月27日)

1.『美術館をめぐる対話』
    西沢立衛著、集英社新書0564F、700+税

 興味惹かれる企画点の開催中でも行くのをためらう美術館がある。遠方で度々行けなくとも、近所に行く機会があれば必ず立寄る美術館がある。私の場合、前者は新国立美術館、後者は金沢21世紀美術館。その差はどこにあるか。うまく表現できないが箱物部分が関係しているのは確かだ。

 著者は建築家、同じ建築家の妹島和世とのユニットSANAAが、金沢21世紀美術館を設計した。根底にあった設計思想は何か。建設中のルーブル美術館ランス別館は、何が評価されてコンペを勝ち抜いたか。

 本書は異なる分野の5人の専門家、建築家の青木淳、小説家の平野啓一郎、森美術館館長の南條史生、アーティストのオラファ・エリアソン、そして前述の妹島和世との対談(オラファ・エリアソンは電子メールによる)をまとめたものである。

 それらの対談から、21世紀が求める、多様化するアートが求める、新しい公共性などが求める美術館と、それらを実現するために建築家が何を考えるか、如何に考えるかを顕にする。重要な専門用語には解説が付く。

 権威の発露と思われる美術館がある。貴重な作品を良好な状態で収蔵・展示する美術館がある。作品と対峙・対話しながら都市に開かれた美術館もある。
 企画点に出かけるのも良い。しかし、散歩途中に気軽に立寄れる美術館、常設展示を繰り返し見たいと思える美術館も素敵だ。ただし、それは安易な作品展示や空間を意味しない。日常生活の糧となるような作品展示や空間が必要だ。

 第一歩は美術館建築である。いや、その前に利用者の、美術館側の、オーナー(多くは行政)の、時代の声がある。

 本書は美術館を再考するきっかけを与えてくれる。美術を愛する方に一読をお勧めする。美術に興味ない方へも一読お勧めする。考えの深さが美術を愛するきっかけとなるかも知れないから。

   (2010年11月27日記録)

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