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2010年10月11日 (月)

文楽:講座『「文楽」へようこそ!』

 2010年10月10日14時~15時50分、主催:神奈川県民ホール、場所:神奈川県民ホール6階大会議室にて開催された、『第79回舞台芸術講座 シリーズ・日本の伝統《4》 「文楽」へようこそ!』を聴講しました。講師・実演は、太夫:豊竹咲甫太夫、三味線:鶴澤寛太郎のお二人。定員は250名ほどと目算しましたが満員。

 以下に解説の主要な部分をまとめますが、前提知識が不足しており必ずしも正確に記録出来ていないかも知れませんので、参考程度に止めて下さい。

 

 浄瑠璃は矢作の長者の娘・浄瑠璃姫に因む。浄瑠璃姫は、長者が信仰していた薬師如来、正式には薬師瑠璃光如来が住む浄瑠璃光世界に因む。薬師如来は病を治す仏様、浄瑠璃も人を治すことで通じている。

 竹本義太夫以降が浄瑠璃と呼ばれるので350年ほどの歴史となる。義太夫の評判が高くなったので、それ以前の出し物は古浄瑠璃として区別される。

 文楽には家元制度が無い。それは、義太夫が新たに作ったものは何もなく、古いものの良いところを集めたものだから。自分の地位・家柄で続くものでも無い。

 三味線は琉球から伝わったと書かれている。三線(さんしん)はニシキヘビ。浄瑠璃の太棹は、日本の伝統楽器と言われるが、部材は全て外国から来ている。音は琵琶に似ている。インドの楽器・シタールは、パキスタン・イラクではセタール、西に行くとヴァイオリン、東に行くと様々に変化する。イラクの高温多湿は大阪も似ている。

 胴は花梨、棹は紅木、音締は黒檀、駒は水牛の角。駒は4.5匁ぐらい、0.1匁単位で調節する。お客さんの入り具合などでも変える。表は猫皮で裏は犬皮(?)。調弦は長唄とも異なり、撥が象牙で小型、文楽以外はイチョウ型。奏法は打楽器的要素が強い。糸は絹糸をターメリックで染める。

 中国に入ると三弦、バーリー語・サンスクリット語。シルクロードを経由したものは三味線、海路来たものは三線。

 寿式三番叟で、「とうとうたらりたらりら、たらりあがりららりとう~」と歌われるの言葉はサンスクリット語で、「作物輝きて、きらきら光る」の意味、鈴を振り鳴らしているように見えるが稲穂を振って大地に戻して、感謝している。

 

 実演が行われるがなかなか演目がわかりません。経験が少ないので仕方ないところです。例えば、

 「そもそもこれは桓武天皇九代の後胤、平知盛幽霊なり」は義経千本桜。
 「でかしゃった、でかしゃった、でかしゃったよのう」は先代萩。登場人物の息でやる。三味線も息を詰めている。
 「鮒だ 鮒だ 鮒侍だ」は仮名手本忠臣蔵から大笑い。 他の三つほどは不明。

 ひらがなは読め、漢字は語れ、当ててあったら本読み(引用・出典のことか?)が大事と教えられるそうです。

 

 休憩の後、来年三月、神奈川芸術劇場にて公演される「杉本文楽・曽根崎心中・付り観音巡り」の宣伝を兼ねて、概要説明。見所は、

  1.現代美術作家・杉本博司がついに舞台芸術に挑みます
  2.「曽根崎心中」の原文が復活
  3.豊竹嶋太夫(太夫)・鶴澤清(三味線)・吉田蓑助(人形)と現代美術作家・杉本博司との夢の共演
  4.「観音廻り」は桐竹勘十郎の一人遣い、人形制作にはメゾン・エルメスのスカーフを用いたコンテンポラリーな衣装が実現

だそうです。その他、前舞台・後舞台が付け足され、二・三階席もあり、観音廻りでは杉本撮影の写真が舞台に投影されるようです。

 日本の現代美術における杉本博司の存在は大きなものがあると承知しています。曽根崎心中(今しがた観終えて帰ってきたところ、この講座とはたまたま日が接近していただけ)は、上・中・下の巻がある(新潮日本古典文学・近松門左衛門集)のですが、現在の文楽は上の巻の前半を割愛して上演(2回観た)します。また人形は三人遣いですが、近松の頃は一人遣いだったそうで、一部とは言え主要な役の一人遣いは今まで観たことがありません。文楽に良く通じていない私でも、随分と斬新な構成と想像できます。
 興味ある方は、神奈川芸術劇場(略称:KAAT)で調べて下さい。

   (2010年10月11日記録)

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