随想:ソーシャルメディアとマスメディア(2010年10月23日)
インターネットを媒介にしたツイッター・ブログ・SNSなどのソーシャルメディアは、ここ数年で急速に拡大したように思う。それらがもたらすものが何かといえば、マスメディアを経由しなくとも種々の情報・データを取得できる基盤であろう。
種々の情報・データの多くは、個人や小集団が発信源であり、その中にフリージャーナリストや専門家、例えば現・旧国会議員や弁護士、も含まれる。ゆえに、多少の環境整備と努力を惜しまなければ、マスメディアからは得ることのできない情報・データを取得できることが少なくない。情報・データは、迅速であったり、機知に富んだり、専門性に裏づけされていたり、正義感溢れていたりする。
一例として、「郵便不正事件の証拠品改竄事件」の数日来の話題に関して、私が感じた一部を整理して、大いに知見を広めていることを伝達したい。
まずは「最高検察庁、『幻の記者会見』を開く(2010.10.22) by フリーランスライター畠山理仁のブログ」から。
『この記者会見で撮影が認められたのは、大林宏検事総長の冒頭発言部分(2分間)のみ。それ以降の質疑応答部分(約50分)は会場からカメラマンが退席させられ、一切の撮影、録音が禁止された。』
朝日新聞 2010.10.22朝刊 東京本社14版(以下、新聞と言う)を一通り読んだが、このことに触れた部分は見当たらない。そのような状況で行われた記者会見であることを事実として伝えることは大きなポイントだろう。当たり前だから言及しないのだろうか。
畠山が『幻の記者会見』と言うのは次の理由によるものだろう。
『 おかしい。「記者会見」なのに質疑応答部分の記録ができない。会見要旨も残らない。これは大変な損失ではないのか。』
『それどころか最高検の事務方は、会見が始まる前に繰り返しこう言った。「当方も会見の録音は行ないませんので、録音はご遠慮下さい」
公の場であるはずの記者会見が、なぜオフレコなのか。それどころか、会見の要旨も残されないのか。』
畠山が憤慨しているであろうことは想像に難くない。私も、これほど大きな問題に直面しながらオフレコにするセンスが理解できない。
新聞では、37面に『最高検幹部ら会見一問一答(要旨)』『検事総長発言(要旨)』が掲載されている。重要な問題だからこそ、要旨でなく全文を読みたい。要旨としているのは主要な部分を抽出したと言う以上に、確たる記録がないため後の問題発生に対応できないからではないか。ここは事実を記録したデータが欲しいところで、何らかの意志が入った情報では価値が半減する。新聞のみを責めるわけにはいかないが、マスメディアは抗議くらいはしているのでしょうね。
畠山は、さらにフリージャナリスト・江川の激しい質問を記録しているが、新聞の一問一答にはそれらしい部分が見当たらない。
新聞は、発言者による取捨選択をしているのだろうか。ゆえに要旨なのだろうか。質問社・者は記載が無いけれど記載すべきであろう。積み重ねれば、それからだってマスメディア各社の主義主張、センスも判ってくるだろう。
新聞だけを読んでいたら判らないこともある。いや多いかもしれない。
(2010年10月23日記録)
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