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2010年7月23日 (金)

演劇:劇団コロモッキル『そんなに驚くな』

   作・演出 朴根亨

   出演   張榮男
        金英弼
        金柱完
        李珪會
        金東炫

   会場   こまばアゴラ劇場
   公演   2010年7月17日(土)~19日(月)
   鑑賞   2010年7月17日 19:00~20:35(休憩なし)

 

 第17回BeSeTo演劇祭の参加作品。

 場末の粗末な家と思われる、その一室。中央に半間四方ほどの便所、便所の扉は観客席に向けて開く。すなわち用を足す場面が見えてしまう。その上手側に洗面所。上手・下手に隣の部屋への扉。もっとも上手に玄関。多少の家具がおいてある。

 登場人物は5人。舅は妻に家出されている。長男は映画監督を気取って家にいつかない。長男の妻は生活資金をかせぐためにカラオケ・スナックで働く。次男は引きこもり、身体障害のあることを感じさせる。消防士はカラオケの客で、長男の妻に気がある。

 底辺の生活を描く喜劇的悲劇。
 舅は友人の葬儀に参列し、そこで家出した妻が喪服を着て泣いている姿を発見し、家に帰って落ち込んでいる。やがて便所で首を吊る。
 便秘に苦しむ次男は、釣り下がった舅の脇で用を足すが、換気扇が壊れて臭いと言う以上のことはない。長男の妻は長男が帰ってきてから処理しようと言って、いつものようにカラオケに働きに出る。久しぶりに帰った長男は、映画制作が佳境にあるからといってすぐに出て行く。
 消防士は嫁に気があって玄関口まで来ることはあったが、今日は部屋に上がりこんでいる。そこに長男が帰ってきて顔を合せてしまう。しかし、どたばたが起きるようなことでもない。

 家族でありながら個人の振る舞いしか意味を見出せない家族。家族として機能しない悲劇。芝居が始まってそばらくして首を吊った舅は、最後までその状態のまま。苦しいから降ろせと言ったり、目をむくので目隠しにテープを貼られたり、身体をゆらしたり。死体が狂言回しを担う喜劇。悲劇と喜劇が同居している。

 

 儒教の国、韓国をそう思っている。それにしては意外な発想。韓国においても核家族化を通り越して利己主義に陥ろうとしている事への警告だろうか。それとも芝居の中だけのことだろうか。
 直截的と思える表現だが、出演者の熱演・怪演はぐいぐい芝居の中に引き込んでいく。暗い話でありながら、笑いが絶えない。韓国小劇場系演劇は揺籃期から発展状態に向っていると推察した。

 

 第17回BeSeTo演劇祭の三作品を観た。「日本:シラノ・ド・ベルジュラック」「中国:覇王歌行」「韓国:そんなに驚くな」である。多くはわからないが、それでもお国柄が表れていたように思う。なかなか大変な時期にあることは承知するが、いつまでも続くことを期待している。

  (2010年7月23日記録)

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