演劇:国立劇場第78回歌舞伎鑑賞教室(2010年7月26日)
演目 歌舞伎のみかた
新古演劇十種の内「身替座禅」
会場 神奈川県立青少年センター
公演 2010年7月26日(月)~7月27日(火)
鑑賞 2010年7月26日(月) 11:00~13:00(休憩 20分)
・歌舞伎のみかた
出演 中村壱太郎
中村隼人
カジュアルな服装の二人が客席後方から現われて舞台に上がる。19歳と16歳だそうで、まさに隣のお兄ちゃん。この回は年配者が多かったけど、夏休み中の学生さんが多ければ歌舞伎を身近に感じるだろう。
「身替座禅」は狂言「花子」を歌舞伎に取込んだ「松羽目物」と呼ばれる歌舞伎舞踊、能舞台と歌舞伎舞台の類似点、狂言にはない侍女千枝・侍女小枝、常磐津・長唄連中の役割、花道や所作台などの舞台設備、が解説される。
若い二人が臆することなく解説する様子を見て、小さいうちから歌舞伎役者としての種々経験を重ねているのだろうと思う。
隼人が先に楽屋に戻り、化粧する様子をスクリーンに映して解説したりもした。
・新古演劇十種の内「身替座禅」
出演 山蔭右京 中村錦之助
太郎冠者 坂東亀三郎
侍女千枝 中村壱太郎
侍女小枝 中村隼人
奥方玉の井 坂東彦三郎
筋は狂言「花子(はなご)」に同じです。花子は遊女の名前。花子が都に出てくるのを知った山蔭右京は、何としても会いたいと思案します。一人きりに成る口実を色々考えますが、奥方玉の井と相談の結果、屋敷内の持仏堂で一夜の座禅を許されます。そこで、いやがる太郎冠者を代理にして、自分は花子に会いに行きます。様子を見に来た奥方玉の井は、太郎冠者が座禅していることに気づいて入れ替わります。翌朝・・・。
第58回横浜能(2010年6月5日)で「花子」を鑑賞していましたので、狂言と歌舞伎の差異に注目しました。当たり前ですが、歌舞伎は狂言に比べて全ての面で華やかです。上手に常磐津連中、正面に長唄連中がずらっと並びます。役者の衣装も華やかだし、顔も化粧しています。所作も大きく、表情も作っています。
錦之助の山蔭右京は恐妻家で優男、彦三郎の奥方玉の井は猛女を演じて充分に納得させます。この二人で筋は進行するようなもので、他は太郎冠者が居なくては成り立ちませんけど役としては軽い。
侍女千枝・侍女小枝は狂言に無い役と前述しましたが、壱太郎・隼人が踊りの所作を見て、深みはないものの小さい時から鍛えられているのだろうと、妙なところで伝統芸能の家系を感じました。
歌舞伎も狂言も、鑑賞の経験はゼロに等しいのですが、面白みは充分に感じています。虻蜂取らずになるかも知れませんが、能、文楽を加えて幅広く鑑賞したいと思いました。知識取得を目的にした鑑賞教室は良い機会ですが、演目の解説中心でないと、毎回、超入門を聞くことになりそうです。
(2010年7月29日記録)
追記:
「身替座禅」が終わって、再び、壱太郎・隼人が舞台上に現われます。今回は紋付・袴姿。常磐津・長唄連中の各々の役割を、実演しながら解説します。
その後、「棒縛り」の一部を演ずる。一人は後手に縛られ、一人は肩に置いた棒に手を伸ばした格好で縛られ、酒を飲んでしまう様子が滑稽。糸の切れた凧のようにダイナミックな所作が、狂言とは大きく異なると感じました。
(2010年7月29日記録)
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