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2010年6月21日 (月)

読書:最近の読書から(2010年6月21日)

1.『ルポ貧困大国アメリカⅡ』
    堤末果著、岩波新書赤1225、720円(税別) 
 

 前著「ルポ貧困大国アメリカ」の続編。公教育、社会保障、医療、刑務所の四分野を取り上げる。

 公教育の要旨は以下のとおり。

 アメリカ人にとってマイホームと高等教育は夢、その実現に政治家たちが一生懸命になった時代もあった。しかし、この二つは似ているようで性質が違う。マイホームはなくても生きられるが。

 高等教育が、ワーキングプアーにならないための投資ならば、どんなに借金を重ねても高くはないと思ってしまう。例え、教育がビジネスであったとしても。

 しかし、子どもにとっての教育の動機が恐怖や強迫観念に変わるとすれば、それは有益なビジネスチャンスになる。例え、国の未来を食い物にすることであったとしても。

 民間の学資ローンを借りる学生数の割合は増大している。ある学資ローン企業のCEOは、四億五千万ドルの高額報酬を手にした。巨大市場が生まれ、破綻する学資ローン利用者が増大する現状。

 

 さて、日本の状況はどうか。国が異なっても、子どもに高等教育の機会を与えたいと思う親の気持ちは変わらない。息子が大学に通っていた頃、うちは貧乏だと言っていた。母集団の範囲によってはそれを否定できない。教育機会が親によって左右されるとしたら、子どもにとっては大いなる不幸。社会的な不平等とも言える。

 ある分野がビジネス対象になれば、利益最大の原則が適用される。それが社会保障、医療、刑務所だとしても、例外とはならないことが本書を読むと理解できる。

 ここに取り上げた事例が、日本の先行指標にならないことを祈るばかりだ。が、現実は少しづつその方向に向っているように思う。

 折りしも「最小不幸社会」という新たな概念が呟かれた。新たな概念は、既知の言葉や事実で定義されるべきであろう。

 「チェンジは待つものでなく起こすものだとという人々が、リーダーに丸投げする代わりに自らのビジョンを描き、未来を創るプロセスに参加し始めた時、真のチェンジは訪れるだろう」とは本書の結び。こういう一面にアメリカの偉大さを感じる。そしてまっすぐ歩けば良いのにとも思う。

 一読をお勧めする。本書はルポであり、新書の性格としてこれ以上の言及は無理。別の形で続きを期待する。

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