美術:『ダムタイプ・S/N』と『光琳・燕子花図屏風』
奇をてらった訳ではありません。この2点の作品鑑賞に焦点を絞り展覧会を回りました。観終えて、両者に共通するのは今でも斬新なこと。経た年月に隔たりはありますが。
結局、森美術館から根津美術館経由で渋谷まで散歩することになりました。
名称 六本木クロッシング2010展:美術は可能か?
会場 森美術館(東京六本木)
会期 2010年3月20日(土)~2010年7月4日(日)、詳細はこちら
鑑賞日 2010年4月29日
ダムタイプ「S/N」を観るのが主たる目的。申し訳ないけど他の作品は二の次。
「S/N」は1993~5年(?)に上演されたパフォーマンス、今回は1994年の記録映像上映。私は1994年12月にライブを観ました。が、あまりの衝撃に全体を良く認識出来ませんでした。改めて観たいと思いビデオ記録を探したのですが未発売のようで、そのままになっていました。
上映は2時間おき、所要時間80分、途中入場不可、途中退場可。13時上映開始の5分前に到着。受付前で上映時間を確認していたら、「13時の上映を観るなら、場所は順路の後ろの方だから出口から逆行して下さい」と案内してくれました。多謝。
「S/N」とは、電子工学や通信工学などで用いられる技術用語、信号対雑音比を意味します。マジョリティを信号、マイノリティーを雑音に例えたと思って間違いないでしょう。
15年を経て観る映像は、やはり衝撃的でした。テーマはエイズ・ジェンダー・セクシャルマイノリティ。さらに伏流としての人種・国籍・障がい者などの少数者差別。映像は極めてあたりまえのことを表現しますが、それを衝撃と感じるのは感じる側に何か弱みがあるからでしょう。
観る予定の方、観ようと思った方もいるかも知れません。内容にこれ以上踏み込みませんが、一人でも多くの方に観て頂けたら良いと思います。もし興味あれば、以前に私が書いた文書はこちら。
この作品の陳腐化する時があるとすれば、それは全ての人に平和が訪れた時だと思います。そんな時代もあったよねと、思い返せる日は来るでしょうか。
名称 新創記念特別展第5部
琳派コレクション一挙公開 国宝燕子花図屏風
会場 根津美術館(東京表参道)
会期 2010年4月24日(土)~2010年5月23日(日)、詳細はこちら
鑑賞日 2010年4月29日
尾形光琳作・六曲一双の「燕子花図屏風」は、金箔地に群青と緑青の二色のみで描かれ、繰り返しパターンが指摘されるなど意匠性の高い作品です。そのようなスタンピングされた知識は一旦忘れて見入ります。
細かいところを描き込まない、それゆえ燕子花の群青と緑青の鮮やかさが目にしみます。大きくは二色ですが色調は微妙に変化しています。300年前ほどの作品だそうですが、古さを感じさせることはありません。
この季節、この作品を観ることのできる楽しさを感じました。
(2010年5月3日記)
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