常識って!?:「2010年5月27日朝日新聞朝刊・天声人語」について
まず2010年5月27日朝日新聞朝刊の天声人語。
『聴くのは楽しいが、ストラビンスキーの春の祭典」は指揮者には難曲中の難曲らしい。故岩城宏之さんは豪州での本番の舞台で、演奏が途中で止まる大失態を演じてしまった▼曲は不協和音が連続して複雑だ。岩城さんによれば、疲れ果てたラストに最大の難所が来るという。そこで指揮棒を振り間違えて演奏は「崩壊」した。音の消えた会場は凍りつき、体がガクガク震えた。途中からやり直したが、恥じ入るほかはなかったそうだ▼さて、自らを「楽団の指揮者」にたとえる鳩山首相である。(以下省略)』
この一文に対して、Twitterで苦言を呈したのが amneris84(江川紹子さん)。
『朝日の「天声人語」に、指揮者の故岩城宏之さんがストラヴィンスキーの《春の祭典》を振り間違えた話が出ている。これを書くなら、最後までちゃんと書いて欲しい。オケが止まった後、岩城さんは何が起きたか分からない聴衆に向かって「私が間違えました」と謝った。オケのせいにせず、自らの責任を明確にしたことで、団員たちは岩城さんへの信頼をさらに増した、と語っていた。オーストリアでの出来事。失敗は誰にもあるだろうが、その後の対応がこの話のポイント。なのに、なぜそれを省いたのか?「天声人語」の筆者に問いたい』
私はTwitterで70人ばかりをフォロー中、タイムラインを追っていますが、他へコメントを送ったことはありませんでした。しかし余りにも不適切な引用と思ったので、amneris84にコメントを送りました。
『「終了後、一人落ち込む岩城の周りに楽団員が集まりなぐさめてくれた。自分のミスだと客へ説明した岩城に、楽団員は限りない信頼感を抱き、きずなはより深まった」と後段を記憶。「雨降って地固まる」の「雨降って」を取り上げた。取り上げるなら「地固まる」の方ですよね。 』
この後外出、帰宅後にタイムラインをおったところ amneris84。
『素晴らしい比喩!朝日に苦情のメールを出した中で、この比喩、使わせていただきました~。事後報告でごめんなさい RT @fukanok 「雨降って地固まる」の「雨降って」を取り上げた。取り上げるなら「地固まる」の方ですよね。』
天声人語が引用した一文は「岩城宏之:楽譜の風景:岩波新書・黄版250」に収められていたと思います。引用したかったのですが、今、手元にありません。記憶をもう少し呼び起こします。
「暗譜で指揮していたのですが、ある箇所で指揮棒は空を切り、音楽は続かなくなりました。古いスコアを使って暗譜したため、ある箇所で2ページ一緒にめくることが多く、その部分の記憶が曖昧だったようです。少し前から再開したが、楽団員は同じミスをすると思い、その部分は指揮者を見ないようにして演奏、乗り切った」。演奏後は前述のとおり。私の記憶は大筋で間違いないと思います。
音楽を止めてしまったのは事実。しかし、指揮者の責任であることを明確にした、楽団員の協力で演奏会を乗り切った、今まで以上に固い信頼が生まれた、そちらに本意はあります。
天声人語の引用は本意で無い部分を切り出した、あるいは無理筋の引用。偉大な指揮者の名誉を傷つけていると思えます。どうした朝日新聞。
Twitterに取り組んでいない方、始めてみませんか。私は以降、小さな思いを発信していこうと思います。
(2010年5月27日)
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