演劇:青年団リンク 口語で古典「武蔵小金井四谷怪談」
作・演出 岩井秀人(青年団演出部・ハイバイ)
出演 武蔵小金井四谷怪談
良子 ------ 荻野友里(青年団)
太郎 ------ 古谷隆太(サンプル・青年団)
父 -------- 猪俣俊明
直美 ------ 端他新菜(青年団)
落語 男の旅 大阪編
山内健司(青年団)
石橋亜希子(青年団)
猪俣俊明
会場 こまばアゴラ劇場
公演 2010年4月17日(日)~4月29日(木)
鑑賞 2010年4月25日 14:30~16:15
・武蔵小金井四谷怪談
鶴屋南北・東海道四谷怪談の口語訳上演を予想させるけれど、その思いは外れる。時代を現代に設定した軽い感じのコメディ風だが、実は。
良子と太郎が良子の父の前に現れ、意味深な様子で良子が立ち去る。残された太郎に、父は良子と付き合うなと言って立ち去る。憤慨した太郎はあらぬ方向に石を投げる。が、なぜか石は父に当たり、父は死んでしまう。
進行に合せて、底本の現代語訳された短い言葉がプロジェクトされる。
これがテーマの大筋で、そしてヴァリエーションが始まる。両者の差は視点が変わること。テーマは太郎の、バリエーションは良子の。
音楽ならテーマとヴァリエーションは何も珍しくはないけれど、演劇では記憶にない。その展開に怪談の秘密が内在していた。笑いの中に怖いものが潜んでいた。
東海道四谷怪談は香りだけ。テンポも良いし、充分に楽しんだ。俳優は皆達者。
既存メディアに対して、インターネットを基盤にしたフリーライターの情報発信が盛んになっている。ある事柄に対する解釈が大きく異なる場合も少なくない。現代でも怪談ネタはありそう。などと思うのは考えすぎか。
・落語 男の旅 大阪編
現代版廓八景のうち、というと感じか。何か底本があるわけでもないようだが。三人のうぶな男が風俗店に繰り出す様を描く。笑いはしきりに起きるが表層的な表現に対してであって、深い意味があるわけではない。
仕掛けは三人の出演者が随時、役割を交代すること。ある瞬間にAを演じていた役者が、Bを演じ始める。こちらも達者な役者ばかりだから、それはそれで面白いがそこまでに留まる。しっかりしたテキストで演じたらどうなるか、などと言わずに楽しめば良いのだろう。
(2010年4月28日記録)
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