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2010年4月 8日 (木)

演劇:M.M.S.T『女中たち』

   演出   百瀬友秀

   原作   ジャン・ジュネ

   音楽   加藤里志(サクソフォン)

   配役   (女中・クレール) -------- 豊田可奈子
        (女中・ソランジュ) ------ コロ
        (奥様) ------------------ 田中秀彦

   会場   横浜美術館レクチャーホール
   公演   2010年4月6日(火)~4月7日(水)
   鑑賞   2010年4月6日 19:00~20:30(休憩なし)

 

 開演前、舞台中央で女二人が動き回っている。部屋の片付けのようだ。

 三分割した黒幕が舞台後方に下がっている。各中央に長方形の切欠き、人が充分通過できる大きさ。下手切欠きでは赤い漢服風の衣装の男が化粧している。上手切欠きにはサキソフォン奏者。

 飾り気のない額縁が舞台前方の中空に浮かぶ。部屋奥の窓。すると中央黒幕の切欠きは部屋の出入口。部屋の主の手がかりは見当たらない。

 開演。会話から女二人は奥様と女中。奥様は白、女中は黒の漢服風の衣装。名前の言い間違えから、奥様がクレール、女中がソランジュ、女二人は芝居していると判る。さらに奥様は赤いドレスを着るとの話から、下手切欠きの男が真の奥様と知れる。
 ただし配役は明記されておらず、私が当てはめた。原作より錯綜しているようだ。

 

 会話が始まった途端に鈴木忠志風の演出と判る。
 原作が話劇の様相を呈するので台詞回しが特に重要。物を食べながらだったり、部分的に早口の言い回しがあったりする。重厚感はあるし声量も充分。ただし鮮明さが不足する。台詞が充分に伝わらない。原作を理解していないとつらい。

 真の奥様が最初から登場しているのはクレールの分身か。台詞と演技の分担のように思えるが、理由は後で判る。化粧の様子から「Dumb Type・S/N」の古橋悌二が思い浮かんだ。

 

 真の奥様が中央に登場。顔に異形の化粧。クレールに向って「頬紅など付けて」。真の奥様とクレールが重なる。「書き物机の鍵、誰かいじった」。咎めるでもないが皮肉の込もった会話。やがて旦那が刑務所から保釈になるとの電話のあったことを伝えられる。タクシーを呼んで、旦那の待つ場所へ出かける。

 真の奥様の登場で、二人の行ないが実は芝居だったことが明白になる。それは憂さ晴らしであり、彼我の格差への抵抗でもあるようだ。 
 

 
 終わりに近づいてクレールが紙片(手紙?)を読み上げる。「支那」「四書五経?」など中国に関係する言葉、ただし意味を理解できなかった。原作にない、恐らくここがポイント。出演者の漢服風の衣装がここに通じるのだろうが、肝心なところが判らなかった。
 それとも聞き間違いか。鈴木忠志風の演出ゆえに、別の世界の見立てと思えば聞き間違いでも無さそうだ。肝心のところを聞き漏らした。

 音楽。セミフォーマルの衣装、ソプラとテナー?のサキソンフォン持替え。
 演奏曲は「ランダムなフレーズ」「イムジン河」「オッフェンバック:天国と地獄・序曲より」「?」「バッハ;無伴奏チェロ組曲第1番プレリュード」「賛美歌・いつくしみ深き友なるイエスは」「愛の賛歌」。
 多分これで網羅。デフォルメされて演奏、選曲に意味はあるか。背景音楽と認識したが、とすれば台詞にかぶって聴き取りにくい部分もあった。「more dolce please」。

 

 この戯曲に鈴木忠志風演出は如何か。軽やかな演じ方もあるように思う。台詞がしっかり伝わることが第一。出演者はみな達者なのだから。

  (2010年4月8日記録)

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コメント

すごい!
私なんてさっぱりわかりませんでした。
やっぱり真の奥様はいていいんですね。
では実際行動に移さないとしても差別される側の殺意ってあるんですかね。
音楽もよくわかりますね~
私がはっきり認識したのはイムジン河と天国と地獄だけです……。
だからイムジン河の選曲ってきっと意味があるようには思ったんです。
どちらにしてもお手上げでした。

投稿: strauss | 2010年4月 9日 (金) 21時40分

 原作を読んでおいたのが正解でした。
 原作には、配役として三人が明記されています。真の奥様は途中から出て途中でいなくなります。けれども本当にいたのか、はたまた幻影か、よく判らないものがあります。

 差別される側の殺意、私もそれが良く判りません。旦那を密告したのも判らないし、最後は自分が毒入り菩提樹茶を飲もうとするのも判らない。

 原作が判らない。そのうえ演出家の解釈も鮮明になりませんでした。長年の工場勤めによるものか、加齢によるものか、多分両方でしょうが耳が遠くなっていることもあって、台詞が良く聞き取れない。演出家ノートを配布してくれたら良かったのですが。

 音楽はたまたま知っている曲だっただけです。今も考えているのですが、本当は意味があるのかも知れません。「イムジン河」は分断を示唆するかも知れませんし、残りも考えれば何かに結びつきそうです。ただ、全体が良く判らなかったので。

 難解な芝居が悪いとは思いませんけど、なにか解釈の手がかりが見つかれば良かったのですが。最後のほうでクレールが紙片(手紙?)を読み上げる、その内容をはっきり受け留められたら、少しはクリアになったように思います。

 こうなると、他の演出家による「女中たち」が観たくなります。

投稿: F3 | 2010年4月 9日 (金) 22時37分

それじゃあ、私が原作を読んでもわからないままでしょうねぇ。
私も難解が悪いとは少しも思いませんが、それなりの提示の仕方があるように思います。
あ、手がかりという意味で。
久し振りの消化不良です。ということは最近は消化にいいものばかりに走ってるってことですね。少しは鍛えないとだめでしょうか。

投稿: strauss | 2010年4月10日 (土) 00時20分

 Strauss さんが原作を読んで判らないことはないでしょう。「奥様ごっこ」をしている状況設定が判りにくいと思います。普通に考えると、そういう発想はありえないと思ってしまうから。

 ただし、そこが結論ではなく、出発点だと思いました。ジャン・ジュネに関する解説なども読んだら良いのですけど、今は判らないまま置いときます。判らないままにしてあるものが沢山あるのですけど、また増えた。

投稿: F3 | 2010年4月10日 (土) 10時20分

演出家ノートと言うほどのものでもありませんが、翌日行った次女が簡単な演出の意図が記されたものを預かってきました。
俳句の案内に同封しますね。

投稿: strauss | 2010年4月13日 (火) 08時42分

 ありがとうございます。何か気になっていますので参考になります。

 コロさんの話題が、朝日新聞に大きな写真つきで掲載されていました。確か26歳と記されていたと思うのですが、予想以上に若いですね。もっと上だと思ったのですが。

投稿: F3 | 2010年4月13日 (火) 10時56分

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