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2010年3月28日 (日)

音楽:歌劇「ラ・ボエーム(2010年3月27日)」

    作曲     : G.プッチーニ
    台本     : ルイージ・イッリカ、ジュゼッペ・ジャコーザ

    演出     : アンドレアス・ホモキ

    指揮     : 沼尻竜典

  ミミ     : 浜田理恵
  ロドルフォ  : 志田雄啓
  ムゼッタ   : 中島彰子
  マルチェッロ : 宮本益光 他

  合唱     : びわ湖ホール声楽アンサンブル、二期会合唱団
  少年少女合唱 : 神奈川県立弥栄高等学校合唱団

  管弦楽    : 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

  会場     : 神奈川県民ホール
  公演     : 2010年3月27・28日
  鑑賞     : 2010年3月27日14時~16時45分(休憩なし) 3階11列17番

 

 パリの下町で繰り広げられる物語、原作の時代設定は1830年頃であるが、ホモキは現代に置き換えた。
 左右から壁が張り出て舞台間口を2/3ほどに狭めている。雪が降っている。ごま塩状の絨毯が舞台に敷き詰められていると思ったが、実は積もった雪。奥に黒塀が張り巡らされている他、舞台上に何もない。指揮者挨拶無しに音楽が始まる。途中休憩もなく、幕間も一息入れるだけで連続して上演された。

 第一幕。広場、マルチェッロが黒塀に黄と赤のペンキをぶちまけるアクション・ペインティング。仲間がドラム缶を転がしてきて据え、紙を燃やして暖をとる。ミミがろうそくの火を借りにきたことをきっかけに、ロドルフォとミミに、恋が芽生える。

 第二幕。横たえた大きな樅の木が運びこまれ、起こし、飾り付けが進攻する。クリスマスイブの雑踏のなかで、ロドルフォはミミに帽子を贈る。ムゼッタがパトロンのアルチンドロとやってくる。マルチェッロとムゼッタは撚りを戻す。警官が現われ群集を一旦ちりぢりにする。あたり一面、クリスマスプレゼントの残骸などが。群集は舞台前方でもう一度勢ぞろい、動きを止めたまま第三幕へ。

 第三幕。舞台上に大きな変化は無い。ミミはロドルフォの嫉妬深さ相談のためにマルチェッロを訪ね、別れろと言われる。ロドルフォはそこにいて、近づく気配にミミは木に隠れる。ロドルフォはミミが肺病だとマルチェッロに言う。それを聞いたミミは二人の前に出て「別れましょう」と言うが、「冬に別れるのは寂びしすぎる」とも言う。

 第四幕。下手から上手に向ってテーブルをセットしていく。今は成功者になったロドルフたちがパーティを開いている。そこえ瀕死のミミをつれたムゼッタがやってくる。手が冷たいと言うミミにマフを買うため、イヤリングを売りに行くムゼッタ、外套を売る仲間のコッリーネ。パーティは崩れ、テーブルも崩れ、木も倒れる(確かこの場面)。崩れたミミはテーブルによりかかり、マフを手にして息絶える。

 

 多少怪しいところもあるがホモキ演出の特徴的な部分を整理した。貧乏から成功者へ成り上がる若者達。そこに付きまとう青春群像。原作では若者達は貧乏のままに終わるから、コッリーネのアリア「古い外套よ」 などが感動的に響く。成功者になった若者達には不釣合いな出来事になってしまう。

 しかしながら「ラ・ボエーム」すなわち「ボヘミアン」は、現在漂流している若者達にイメージが重なる。成功者もそうでない者も紙一重かもしれない。ホモキの演出は、多少の矛盾を孕みながらも、それもありだろうと思える。
 矛盾を見逃せないと、ホモキ演出を肯定できないかも知れない。

 歌唱の細部を判るわけではないが、ムゼッタ役の中島彰子が素晴らしく、一際目だった。ミミ役の浜田理恵はそれなり、男性人は強烈なホモキ演出から浮き出ていない。

 休憩無しに1時間45分演奏した沼尻竜典と神奈川フィルに拍手。神奈川県立弥栄高等学校合唱団に拍手、貴重な経験は後々まで記憶に残るでしょう。

 

 付け足しで。
 第一日目のマルチェッロ役の堀内康男は練習中に脚部負傷、そのため宮本益光が二日間とも務めると。

 TVでお見かけする江川昭子さんは2日間聴いておられるようですが、「ノーモア・ホモキ」などとTwitterでいくつか呟いています。日本のオペラは大体ダブルキャストだから2日間聴きたいところですけど、江川さん、通なんですね。

 1999年6月、尼崎アルカイックホールで関西二期会創立35周年記念の「ラ・ボエーム」を聴いています。指揮は沼尻竜典。単身赴任の徒然でした。時は過ぎるけど、少しはましな聴き手になっているのかな。

   (2010年3月28日記)

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