映画:ベジャール、そしてバレーはつづく
出演 ジル・ロマン(モーリス・ベジャール・バレー団芸術監督/ダンサー)
エリザベット・ロス(モーリス・ベジャール・バレー団ダンサー)
ジュリアン・ファブロー(モーリス・ベジャール・バレー団ダンサー)、他
監督 アランチャ・アギーレ
場所 シネマ ジャック&ベティ
鑑賞 2010年2月24日
公式HP http://www.cetera.co.jp/bbl/
「アダージェット(マーラー・交響曲第5番より)」を踊るジル・ロマン、研ぎ澄まされた筋肉が紡ぎだす力強くも繊細な動きはベジャール・バレー団のトップダンサーであることを遺憾なく伝える。
2007年11月22日ベジャール没。芸術監督はジル・ロマンに引き継がれた、二つの困難と共に。困難の一つ目は財源、とりあえずローザンヌ市が三年間の助成を約束した。二つ目は、ジル・ロマンの振付作品を上演するとのベジャールとの約束の実現。
常にベジャールと比較されるプレッシャーに苦悩しながらも、新しい扉を開くために挑戦するジル・ロマンやダンサー達。その様子を記録したドキュメンタリー。その中に亡きジョルジュ・ドンが踊る「恋する兵士」や「ボレロ」など場面、生前のベジャールの語りなどが挿入される。
ダンサーや関係者の努力や苦悩は充分に伝わってきた。しかし20世紀最大の芸術家と言われたベジャールや、ベジャール・バレー団についての多少の前提知識を持たないと理解しにくい。各場面はあまりにも断片的である。裏返せばもっと長く見たいということだが。
街中を写した場面に、抱きあった男女の周りを多くの男女が囲むポスターが写っていた。「春の祭典」のフィナーレ。中央の二人はジル・ロマンとショナ・ミルク、確か90年代の日本公演で観ている。ベジャールも終演後の挨拶で舞台に上がった。そういうことを思い出しながら時の移ろいを感じた。
週中の昼間の上映、客は10名強だったが男は私一人。ダンスは男の見るものに非ずか、決してそんなことはない。極致の身体表現は、雄弁よりもよほど多くのことを語る。改めてベジャールに合掌。そして新しいベジャール・バレー団の発展を祈念。
ベジャールやベジャール・バレー団、他のカンパニーに興味ある方はご覧になったら如何でしょうか。舞台には現われない様子を知ることができます。
(2010年2月24日記)
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