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2010年2月17日 (水)

読書:最近の読書から(2010年2月17日)

1. 『季語の誕生』
    宮坂静生著、岩波新書1214、700+税

01  論多々あるようだが有季定型が俳句の骨格、季語を含む五七五の17文字でまとめる。季語は歳時記あるいは季寄せを参照する。一方、嘱目ならば目の前の光景を優先すべきだろうし、雑誌等の兼題はやや先走った季節感を漂わす。雑な私の認識だが、実作しない私に何も問題にならない。多くの俳人がどう折り合いをつけているかとかすかに思うだけで事足りる。

 「用いる市販の歳時記は浜頓別(稚内の近く)の季節には合わない。俳句を歳時記に合せて空想で作ってきた。意味がないと思うようになった。どうしたらよいか」。著者は届いた質問で衝撃を受け、実景でなく歳時記によって俳句を作ってきたのではないかと気付かされる。そして「季語体系の見直し」には言及しないが、その一環として「季語の誕生」の背景を考える。
 ところで市販歳時記の根本原理は山本健吉の指摘する「主として京都中心、畿内中心のもの」であり、新たな提案はなされていないと言う。

 和歌に季節の言葉を詠み込む決まりはないが、連歌には季語が必須。理由は、短詩形を連ねたものであり、複数作者の共同制作によるものであるから、言葉の連想範囲を限定することで美意識の共有が可能になる。花は桜で、月は秋ということか。
 しかし芭蕉は、都人が都を絶対と考え都以外を認めまいとする特定の美意識を、「日々旅にして旅を栖とす」を実践して覆す。「松の事は松に習え、竹の事は竹に習え」と季語の本質を蘇らせる大切さを教える。

 こういうことを序論にして、本書の中心は三つの季語「雪」「花」「月」の成立の追求にある。ふつうは雪月花だろうが、順序を変えたところに著者の伏線がありそうだ。著者は「季語の起源を平安朝貴族の歌語からではなく、もっと遡って縄文人の生活意識から探ることはできないかということだ」との思いを抱くが、その思いもそこはかとなく漂よう。

 多少違和感を感じる部分もあるが、季語の深奥さを垣間見る思いがした。

  (2010年2月17日)

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コメント

歳時記によって俳句を作る。
わかりますねぇ。
実景でなく空想で作ることに意味はないか。
意味が全くないとは私は思いません。
空想と言っても多分作者の実体験に基づいているからこそと思うのです。
自覚があるかなしかは別として。
使いたい季語があるとき、それをいつも頭においておくと、まさにぴったりの状況に遭遇する時があります。
逆にこういう場面でしっくりくるのはどんな季語かと探すこともあって、見つけた時はちょっと嬉しかったりします。
私は始めたばかりなので、とにかく沢山作ることだと思っていて、まだ歳時記をちゃんと読むという段階です。
興味深いので、この本探してみますね。
F3さんは方々を歩き、様々なことを見聞きしてらっしゃるから、その気になればすぐ句ができると思いますよ。

投稿: strauss | 2010年2月19日 (金) 08時54分

 750~800文字でまとめることにしているので、細かいところが伝わらない(大きなところもだ)と思います。例えば、北国では梅・桃・桜が同時に咲きそろうと聞きます。その様子を表現する季語はない、北国の人はそれが歯がゆいのではないかと思います。

 「季語の誕生」、まだ未購入なら送付します。これは基礎知識だと思います。
 実作のためには、小林恭二の三部作(俳句と言う遊び、俳句と言う愉しみ、短歌パラダイス)は如何でしょうか。未読なら合せて送ります。実作しない私が言うのも何ですが、当代一流の作者たちの他流試合は、実作者に何かヒントを与えるように思います。

 お手数ですが連絡願います。

投稿: F3 | 2010年2月19日 (金) 13時13分

ああ、わかりました。
そういう意味で言えば、ぴんとこない季語って数多くありますね。
読ませて頂けるんですか!
それは嬉しいです。
私も一冊送るつもりでいたところです。
もっともこれは素人の本なので喜んで頂けないかもしれないのですけれど。
よろしくお願いします!

投稿: strauss | 2010年2月19日 (金) 20時05分

了解しました。明日、発送手配します。私は急ぎませんし、おもしろければ留め置いて頂いてかまいません。

投稿: F3 | 2010年2月19日 (金) 22時21分

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