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2009年11月11日 (水)

演劇:ヘンリー六世(第二部)・敗北と混乱

   作     ウィリアム・シェイクスピア
   翻訳    小田島 雄志
   演出    鵜山 仁

   美術    島 次郎
   照明    服部 基
   音響    上田 好生
   衣装    前田 文子
   アクション 渥美 博、他多数

   出演    浦井健治   王ヘンリー六世
         中嶋朋子   王妃マーガレット
         中嶋しゅう  グロスター公
         村井国男   サフォーク公
         勝部演之   枢機卿ポーフォート
         菅野菜保之  ソールズベリー伯
         上杉祥三   ウォリック伯
         渡辺徹    ヨーク公
         立川三貴   ジャック・ケード、他多数

   会場    新国立劇場
   公演    2009年10月27日(火)~11月23日(月・祝)、複雑につき詳細は要確認
   鑑賞    2009年11月10日 14:05~17:10(休憩15分)
   公式HP   http://www.atre.jp/henry/

 

 上手の池に赤薔薇・白薔薇の花が浮かんでいる。第一部後半に(確か)ジャンヌダルクが投げ込んだ薔薇の枝から離れたものだろう。物語は切れることなく続く。

 

 王座・王妃座が並ぶ王宮。王ヘンリーの名代として婚儀をすませたサフォークは、王ヘンリーの下にマーガレットを案内する。グロスターは、サフォークが取り結んだ和議が屈辱的な条件であると嘆き、サフォークの忠誠を疑う。

 一方、枢機卿ボーフォートらはグロスター追い落しをたくらみ、ヨークらはグロスターに味方する。両者の闘いが始まるなかでヨークは王位略奪を口ばしる。

 何事が起きても優柔不断な王ヘンリー、王をないがしろにする貴族たち。貴族たちのいがみ合い、闘い。王妃とサフォークの不倫。グロスター公妃の野望。その間にジャックケードの反乱が挟まる。

 

 多くの出来事に複雑さはなく、展開によっては単調に流れかねないだろう。スピーディな展開、歯切れの良さがそれを感じさせない。

 出演者の力は言うまでもないが、スタッフの力を強く感じない訳にいかない。シンプルな舞台に王宮・公爵邸・戦場などを浮かび上がらせる照明。モノトーンの簡素なフード付き外套ながら荘厳さも失わない場面など、要所ではっとする美しさを感じさせる衣装。舞台狭しと立ち回り、戦いの空しさ・残忍さを伝えるアクション。豪壮な空間、荒涼たる空間、意外な場所から出演者が登場する舞台を作り上げた美術(ロビー展示の舞台模型写真、左が全体像、右は下手前方から上手後方)。

Img_7142 Img_7152  

 

 

 

 愛人サフォークと結託して権勢を増大しようとする王妃マーガレット、中嶋朋子はTVでもじっくり見たことはなかったが、王ヘンリーを尻に敷く悪女を見事に演じている。私の根拠ないイメージを覆した。
 王ヘンリー六世の浦井健治は、権勢欲渦巻く中で主体性の無い王を良く感じさせる。市井の人なら穏やかな生活を送れただろうと思わず同情させる。
 グロスター公の中嶋しゅう、サフォーク公の村井国男、枢機卿ポーフォートの勝部演之等の諸卿は、各々に個性の強い役を良く感じさせる。ヨーク公の渡辺徹もTVでしか知らなかったが、舞台に良く映える。
 ジャック・ケードの立川三貴は、全体の流れと異質な場面で存在感を感じた。この場面が単調ならば全体の単調さに繋がるだろう。

 

 戦いはひとまずヨーク派の勝利で終わる。後にリチャード三世、狂気のリチャードが現われた。第三部につながっていくだろう。

 

 「統帥権干犯」、その意味を突き詰めたことはないけれど、グロスター公追い落としの場面でふと思い浮かんだ。イングランドを中心にした歴史劇ではあるが、その普遍性を確認した瞬間である。統治者の権謀術数の下で苦しむ庶民、何時の時代も、どこでも似たようなものだろう。舞台の面白さが、舞台に現われない悲劇を余計に感じさせた。

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