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2009年10月28日 (水)

講演:川上弘美×高橋源一郎(質疑編)

 

 対談編の続き。会場からの質問に主として川上弘美が答えた。約30分。 

 

Q: 「日本語が滅びる時」を読んだか、どう思うか。
K: 英語が共通語になったとき、英語で話せる人が日本語の美を見出せるか。日本語の体系がしっかりしているのでそれをベースにという、真っ当な論ではないか。
Q: 本を読んでいて途中でやめる基準はあるか。読む時は誰の視点か。
K: 読者視点、感情移入がしやすいもの。(途中でやめるのは)文章にひんが無いとき、言葉を大事にしない時。ひんの無いことを書くのは別。
Q: 2冊(センセイの鞄、古道具中野商店)しか読んでいないが、その中でお手洗いの場面がポイントか。前後で主人公の気持ちが変化するような気がする。何回も出る。
K: 物を食べるものが好き。食べたら出す。(?)ではさやさやとおしっこをする。無意識な部分をつかれた。排泄に目をつぶってはいけない。
Q: 小説を書き上げて知り合いにオリジナリティを否定された。書かされていると言っていたが。
K: オリジナリティは無いと思った。一時期、書評をやっていたが、書いたその人の文体になってしまう。純粋なオリジナリティは他人が判らない。
T: 純粋にマネも出来ない。違うものが出来てくれる。
Q: スランプの時期、書いていないことの距離、全く考えていないか。
K: 恐怖であった。きっと書くと思っていたが、生活していることが忙しかった。夜寝る時に、このまま終わるかと思った。
T: 恐怖。書けないと、書けることが想定できないわけで。
K: 時間がないと書けない。
T: スランプはある。新陳代謝、時々来る。時が来るまで待つ。
K: 書けていないけど、絶対書けると思う。なるようにしかならない。
Q: デッサンのような小説を書きたいが、他者を書けない。
K: 書いたらよいのではないか、とにかく。
T: よく言われるが、皆勝手。本当の他者は書けない。影みたいなものが書ければ。
Q: 「神様」では、見えないものが見えているのではないか。
A: そう思って頂けるのは小説が成功している証拠だと思う。皆同じものを見ていると思って、違うものを見ている。
Q: 女性同士の恋愛。私は好きでないが、女性同士も良いと思う。
K: 恋愛には気持ちとSEX。私くらいの年になると友愛。多くの人が好きになる。SEXを含めて男同士、女同士がある。
Q: 「神様」は子供がいなければ書けなかった。それはどこか。
K: 育てているときに書いた。「神様」は長男、「夏休み」は次男。好きなものでデビューできたのはラッキー。

 

 1958年生まれだから41歳。ラフな格好をしていたから隣のお嬢さんといった雰囲気だが、話を聴いていると大家の予感。既読は4・5冊だが、ゆるゆると読んでいこうと思った。小説家の話を聴くのは初めてだが、良い時間になった。

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