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2009年9月 2日 (水)

美術:利賀フェスティバル2009・道中編(塩田千春作品を巡って)

 塩田千春を意識したのは横浜トリエンナーレ2001、天井から吊り下げた巨大なドレスに泥水を流し続ける「5着のドレス」という作品。

 今夏、塩田千春は金沢21世紀美術館(8月31日まで)、入善発電所美術館(9月23日まで)、越後妻有トリエンナーレ(9月13日まで)において作品公開しています。

 これらの場所は、利賀フェスティバルへの道中からそれほど離れていません。一人の作品を異なる場所で短期間のうちに観られる機会など滅多にありません。
 越後妻有は既に出かけましたが、塩田千春作品にたどり着けませんでした。と言う訳で、三ケ所の塩田千春作品を日をおかずに一気に鑑賞する行程をつくりました。

 

 金沢21世紀美術館では企画展「愛についての100の物語」中の作品、「記憶の部屋」。この美術館で最も大きな部屋と思います。そこを占有して、旧東ベルリンで集められた1000枚以上の木製の窓を使用したインスタレーション。天井高は10m以上と思いますが、そこに届かんばかりの窓の塔。中央は円筒形、その中に椅子が置かれ、円形の外に円弧状の羽が左右に拡がります。

 作品から窓が旧東ベルリンで集められたとは判りません。が、長い年月を経たものとは判ります。雨風を遮る役割は果たしたでしょうが、社会の変化はどうだったのでしょうか。窓の中の生活、それがどのようなものであったかを想像しないわけにいきません。塔のように積み上げた構造は、やがて来る時代の変革を暗示するのでしょうか。

 

 発電所美術館の作品は「流れる水」。多くの簡素な医療用ベッド(?)を使用したインスタレーション。ベッドは滝のように天井から床に向けて流れ込みます。そこに水が降り注ぎます。

 詩歌に挨拶句がありますが、これは挨拶インスタレーションと言って良いのでしょう。長いこと人びとの生活を支えた産業現場に対する。
 挨拶句は丈高く穏やかに作るようですが、この作品に穏やかさは皆無です。滝のように流れ込むと言いましたが、天に向って逆流しているかも知れません。私は医療用ベッドだと思いますが、その飾り気のなさゆえにその先に繋がる何かを想像しないわけにいきません。このベッドにさえ身を横たえることが出来ないとしたら。

 

 越後妻有の作品は「家の記憶」。空家の中に付近の住民から集めた使い古しの家具・古着などを、黒い糸を編んで内包するインスタレーション。
Dsc_0054 Dsc_0065 Dsc_0067 Dsc_0071

 
 
 

 

 空間と素材の関係が前2作品とは異なります。すなわち生活臭を色濃く残した空家や家具・古着などを無機質な黒い糸で内包するということ。内包するというよりは内包されたのでは無いかと思います、観るものを含めて。空家を利用した作品は少なくありませんが、徹底的に対峙する作品は少ないように思います。穏やかに寄り添い、かってそこに存在した生活を髣髴させる作品が多いように思いいます。この作品も例外ではありません。いずれ誰かが戻ってくる場所、そのような思いが湧き上がりました。

 

 芸術は未知の未来を描くことは出来ないでしょう。過去を凝縮し、凝縮してそこから未来を外挿させる、それは可能のように思います。多くを理解したわけではありませんが、それでも貴重な経験となりました。

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