白想:旧暦元旦
2009年は1月26日が旧暦元旦、横浜中華街には春節の飾りが施されています。馬祖廟には、いままでに見たことが無い太い長い線香が供えられていました。
中国の正月と言えば、獅子舞や雑技とともに「石田幹之助著・長安の春・東洋文庫91」が思い浮かびます。
「陰暦正月の元旦、群卿百寮の朝賀と共に長安の春は暦の上に立つけれども、元宵観灯の節句の頃までは大唐の都の春色もまだ浅い。立春の後約十五日、節は雨水に入って菜の花が咲き、杏花が開き、杏花が綻ぶ頃となって花信の風も漸く暖く、啓蟄に至って一候桃花、二候棣棠(たいたう)、三候薔薇(しゃうび)、春分に及んで・・・・・」。
私の理解は深いもので有りません。それでも美しい日本語により長安の春を目の当たりにする思いがします。唐詩「韋荘・長安の春」に続く書き出しは、読んでいて心浮き立つ感じがします。
仕事で長安(現西安)の北30Kmほどの咸陽に3ヶ月滞在したことがあります。咸陽は秦の始皇帝の都、北側の台地に転々と漢代の王陵が、最も東側に劉邦陵、最も西側に武帝陵。中国歴史が目の前に広がっている感じです。思えば1980年から1981年にかけてのことですから、もう古い話ですが。「長安の春」などを読んでいたし、その頃は中国への旅行も制約があったようですから、ある意味幸運でした。
滞在中に春節を迎えました。夜中、宿舎から1Kmほど離れた咸陽の町から爆竹の音が響いてきました。爆竹の破裂音で邪気を祓い、新年を祝うと聴きました。元旦の朝は餃子が供されました。副食でなく主食として、お皿一杯に。
実は25日に夫婦で散歩の途中に香港路のB園で昼食をとりました。わき道の小さな構えの店ですが、壁には横浜ベイスターズの選手や有名人の色紙が張り巡らされています。季節料理として大根餅、B園では今の時期だけだとか。日本のお好み焼きのようですが、細かい干し肉が中に入っただけの素朴な料理です。見栄えも美しいとは言えませんが、でもおいしかった。春を祝う伝統の料理で、日ごろは贅沢し過ぎているかとの思いに至りました。
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