美術:横須賀美術館「日本彫刻の近代」展
会期 2008年10月28日(火)~12月21日(日)
開館時間 午前10時~午後6時
休館日 残る会期中に休館日無し
入場料金 一般 800円
鑑賞日 2008年12月13日
公式HP http://www.yokosuka-moa.jp/index.html
「中原梯二郎・若きカフカス人」。この前に何度立ったことでしょうか。真正面を見据え、口を一文字に結び、頬がややこけた青年の頭像です。華美なところは何もないのに、いつも強く惹かれるものがあります。何故でしょうか。
結構大胆に表現されている。内面性まで感じられそうだ。青年のひたむきさがひしひしと伝わってくる。具象彫刻の深奥さを気付かせてくれるからだと思います。
「佐藤忠良・群馬の人」。この頭像の前にも何度立ったことか。群馬の人が皆、このような顔をしているわけではないでしょう。しかし、この頭像から受ける印象は群馬の人、そのものです。いつも不思議に思うのです。何故でしょうか。
純朴、寡黙、勤勉。形象表現を通り越した表現がそこに加わっているからでしょう。作者の本質を射抜く視線が、この小さな頭像に凝集しているからだと思います。
この展覧会は、副題が「明治期から1960年代まで―日本彫刻100年の歩み」。その100年を「Ⅰ 「彫刻」の夜明け」「Ⅱ 国家と彫刻」「Ⅲ アカデミズムの形成」「Ⅳ 個の表現の成立」「Ⅴ 多様化の時代」「Ⅵ 新傾向の彫刻」に分けています。
「荻原守衛・坑夫、デスペア」は久しぶりという感じ。「橋本平八・花園に遊ぶ天女」は展覧会ポスターを飾っていますが、随分とかわいらしい表現だと思いました。全身に線彫りで花の模様が刻んであります。
初めて見る作品が圧倒的に多いのですが、なぜか過去に出会っているような思いがします。100年の歳月は長いでしょうか。私はそう思いませんでした。他のジャンルに比して、変化が緩やかだからでしょうか。具象的表現の制約によるものでしょうか。理由を突き詰めてはいないのですが。
地味な内容ですが、心穏やかに鑑賞できる良い企画展です。ただ、作品が多いせいか展示が多少窮屈に思えました。それと、日曜日なのにお客さんの少ないのが気になりました。もっと多くの人に支えられて良いと思うのですけど。
残る会期も少ないのですが、もう一度出かけたいと思っています。
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