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2008年10月16日 (木)

演劇:維新派・呼吸機械(その2)

 客席の照明が落ちて舞台に照明が回ると、湖の中にまで入り込んだ舞台が浮かび上がります。空には数えられるほどの星が。対岸に灯りは少なく、先ほどまで沖に浮かんでいた、おそらく漁船の灯りもいつの間にか見えなくなっています。

 「呼吸機械 〈彼〉と旅をする20世紀三部作 #2」は、フラメンコを思わせる群舞で始まります。40人ほどが縦横に整列し、足を踏み鳴らし、仰向けに横たわって足と手を打ち付けます。板(?)張りの舞台が音を響かせます。群舞は執拗にリフレインされ、一気に舞台に引き込まれます。これが維新派だ。

 終盤、再びこの群舞で舞台は埋め尽くされます。ただし、客席との境あたりから大量の水が涌き出して舞台は水浸しに。足を踏み鳴らすたびにしぶきが上がり、役者は見る間に濡鼠。全ての出来事を洗い流すように。

 #1を観て、「ブラジルへの移民船。新しい大地を夢見た人々は、新たな理想の世界を作り上げることを夢見ていたのかも知れません。これが三部作を貫くテーマだと思います」と書きました。しかし、20世紀が戦争の世紀であったことに思い至れば、新しい世界が大いなる暴力で生み出されていることにも気付きます。松本の意識はそこにあるのではないでしょうか。

 

 さて、この間のストーリーは結構難解です。筋道立てた説明はとっても無理、印象的な場面を断片的に振り返ります。

 ところはヨーロッパ。少年たちは、リュックサックを背負った大男(数mもあるような着ぐるみ)と対面。大男は文明の象徴のようでもあります。響きわたる呼吸音。

 つくり物の上半分の月が湖面に浮かびます。飛行機が飛び交い、機銃掃射が繰り返されます。

 「シロップ・ゼリー、ココア・クッキー」など、韻を踏んだ台詞が繰り返されます。短い単語の組合せを歌うように繰り返すのは維新派の特徴。「あなたは塵だから土に帰らなければならない」などの言葉が挟まります。

 波打ち際を進む敗残兵、途中で力尽きて倒れます。子供たちが寄ってたかって銃や身に着けているものを略奪。力なく起き上がる兵隊を、子供たちは殺してしまいます。

 飽食する人たち。後ろには調理工場でしょうか、屋根から大男が顔を覗かせています。ひょっとして調理工場でなく、大男が食べ物を飲み込んでいるのでしょうか。おなか辺りに食べ物を置くと、UFOキャッチャーのようなハンドが上方へ吊り上げていきます。食糧難と飽食が同居する世界の隠喩(?)でしょうか。

 下手から上手に汽車が走り抜けます。ヘッドマークにかぎ十字が。築き上げようとするものはバベルの塔か。空襲。1939年3月、ドイツはポーランド・ワルシャワに進行。

 建設が始まり、世の中は立ち直り。建設は続き、均等・平等が芽生えます。やがて階級闘争に。プロレタリアートとブルジョワジーの対立。

 チェチェン、コソボなど、尽きない戦争が、追い討ちをかける様に歌い上げられます。

 最後、大男が船の上に横たわって湖上を横切っていきます。あてのない文明の漂流が続くようです。

 最終日の前日、随分こなれているように感じました。そして、随分と大きな問題提起がなされたように思います。一年間、一生懸命に考えようと思います。終わったばかりです#3が待たれます。

 写真は左上から順に、JR田村駅、劇場前屋台村、同じく、比叡山の方向に陽が落ちて、劇場遠景、終焉後の舞台を。
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