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2008年10月31日 (金)

シンポジューム:舞台は劇場を飛び出す(その2)(長文)

 タイトル  第2回横浜フリンジフェスティバル
       シンポジューム『舞台は劇場を飛び出す』

 パネリスト 松本雄吉(維新派主宰)             
       遠藤啄郎(横浜ボートシアター代表 脚本/演出家)
       大橋泰彦(劇団・離風霊船主宰 劇作家/演出家)
       大西一郎(演劇プロデュースユニット 作家/演出家)
 司会    一宮均(PAW Yokohama主宰)

 会場    みなと未来テント劇場
 開催日   2008年10月26日12時00分~14時55分(休憩15分)
 
 
 私は演劇鑑賞者で、制作に関与していません。それでも大変に興味深い話でした。趣味を同じくする方に雰囲気をお伝えできればと思いながら拝聴しました。内容を整理しましたが、充分にまとまったようにも思えません。それでよろしければ一読願います。

 ただし、あくまでも私が受け止めた内容の記録です。パネラーがこの通りに発言されたわけではありません。また、著作権に抵触する旨の連絡等があれば掲載を中止します。承知おき願います。
 
 当日は30分遅れで入場しました。ワークショップ会場と勘違いして別の場所に行ったためです。と言う訳で入場した時は、遠藤啄郎の近況報告の終わり近くでした。
 
 
遠藤:(ボートシアター作品と思われる映像が投影されていました)作品にあった空間が必要で、良いスタッフがいれば良い劇場になる。船(横浜元町にあったはしけの劇場を指す。今は無い)にしろテントにしろ、行政の規制や経済的に縛られた状況下で活動するささやかな空間である。アートを抑制されては困る。

松本:(先の琵琶湖公演スタッフの撮影した写真を見せながら)1.5度傾斜で湖の中にまで入り込む舞台を作った。開演前の会場で老いた夫婦が一つの弁当を食べながら夕日を見ている光景に感動した。スタッフの焚く焚き火に2ヶ月間もあたっていると、手がスモークサーモンのような色になってくる。それが屋外でやっていることの証。琵琶湖では温暖化の影響か、多くの藻が流れてくる。その藻を拾って捨てる。長浜(滋賀県)に客が集まってくれるか心配したが沢山来てくれた。劇場を建てているだけで感動する。ある種の達成感がある。

大橋:(第1回フリンジフェスティバル・市電うどんのビデオを観ながら)火薬(銃器を)を使いたいので屋外を選んだ。

大西:テントの経験は少ない。初めの頃、雨が降った時はテント屋根を下から棒で支えていたことがある。(休憩)

司会:場の持つ力とは。

大橋:(横浜)大通り公園でノウハウ無しに公演をやったことがある。許可も取らずに。周囲にいた風太郎の技術を持った人がいろいろ教えてくれた。川崎公演では天幕だけを製作し、各地の公演では支柱を借りた。今回は新宿梁山泊のテントを借りている。しかし行政との折衝で紫色はだめ、景観を汚すので周りを白で囲めと言われた。高層ビルからの景観もあるので屋根も覆うように言われた。そういう苦労がある。芝居以外の苦労もあるが後になって良い思い出につながる。場に引き付けれれると言うより、場との闘いである。

遠藤:テントの経験はあるが体力がなくなると出来なくなる。公演の大変さが製作側の何かを結集する。不便なところで制作するのも大切なプロセス。池の上の舞台を作った時はカエルの声に妨害された。しかし考えるとそれは風情なのである。テントの外から音が入ることで不思議なからみが生まれる。それは計算できない。現代の劇場も良いが、屋外の場は身体表現能力ばかりでなく場との調和が大切。越後トリエンナーレに出かけたが、自然に負けない、近代芸術の良さを主張できる作品は多くない。制作する側に大きな力が要求される。自然と融和しながら、それに負けない作品を創り出す。しかし、規制でがんじがらめになる。それを打破しながらやっていく。

松本:38年間やって来ると、年寄りが若いものに尊敬されることがある。例えば、(焚き火に)火がつけられる。若い人は水平を知らない。月が東から昇ることも知らない。野外公演は自然と折り合いをつけることの連続である。発見もある。室生公演(奈良県室生村2001年公演、私も観劇した)は野球場で行った。人の声は客席に届くか判らなかったが、実際は良く聞こえた。山の中の言葉は、「おー」とか、「よー」とかは特に良く聴こる。そのような環境では、人が人の声を聞くという意識が強まる。光に比べて音は遅い。野球場のセンター付近から声を出すと1秒後に聞こえてくる。大きな会場などで反応がウェーブしていくのが良くわかる。そのような環境ではこだまを利用できないかと思った。せみの声の録音を流すが面白くない。遠くの山へ当てると反射してくる。若い人はぬかるみを知らない。琵琶湖公演の終幕で琵琶湖の水を舞台に流すが、その時に砂も巻き上げる。舞台は砂だらけになる。だから次の日の15時くらいになると、広い舞台を雑巾がけする。そういう行動が自然に発生する。習うより慣れろが野外劇場のルール。

遠藤:船は波で揺れる。役者もゆれて観客も揺れる。一体感が生まれるが、何の一体感なのか。バリ島のダンサーが劇場公演をした時、風を感じない、月が見えない、と言った。私たちは何かを失っている。これから若い人は場所を確保しながらやっていく。船は違法、何かやろうとするには規制が多すぎる。それは自然以上である。行政と戦うそのエネルギーも必要である。横浜は芸術創造都市を宣言しているけどそれでもいろいろある。一つづつやっていくと何か規制に引っかかる。

大橋:テントを白にしなさいと言われた後、TVでサウジアラビアのニュースを見たが、サウジアラビアのような光景にしたいのかと思った。昨年はテントが許可されなかった。その時、コンテナを並べて空間を生み出すアイディアを大西さんが思いついた。コンテナを置くだけ、中を使用しないならOKと言われた。コンテナが動かないようにコンテナをパイプでつないだ。雨対策にシートの屋根をかぶせたが、結局、最後までかぶせた。公演中の台風でシートが吹っ飛んだ。その日は俳優座公演の千秋楽であったが屋根無しで開演した。岩崎加根子がそれも面白いと言った。今回の公演の許可をとるため、1ヶ月間、毎日のように役所に行った。そしたら、担当者も気の毒に思ったかいろいろアドバイスしてくれた。1ヶ月つしかやらないことに何でこのような規制が必要なのか。それは何かあると部署の責任ではなく担当者の責任になるから。アネハ以来。

大西:パレットとコンテナで作った劇場は横浜らしいと思った。傍をタクシーが通る。北村想が奇跡的と言っていた。ヘリポートも近いのでヘリコプターの音もする。

司会:行政との関係は

松本:だまし方がうまい。石の鳥居は、構造的に良くわかっていないけど伝統があるからOK。行政は伝統に弱い。岡山ではOKなら神戸でも。行政の立場は、規模にもよるがうまくやってくれ。琵琶湖公演は滋賀県主催。北村想の依頼だが、琵琶湖でやるとは思っていなかった。琵琶湖の自然を守る団体は中止しろとも言った。交渉は交渉であって、演劇を開催するという本義が悪いことではないと判っている。今回の琵琶湖公演演は今後の前例になったはず。

司会:スタッフ作りは。

松本:村に村祭りがあるが都市に都市祭りが無い。都市生活者には祭りが無い。劇場を作っていると手弁当でやって来る人がいる。工務店の人はトラックや道具を持ってくる。それを重ねているうちにプロ化してきた。機構と建築の折り合いの付け方、安いものの見つけ方などがうまくなってきた。今回の公演でも10人ほどの知らないサポータがいた。暇だから来ているとか。非日常空間に素人が参加する。非日常が大事、日常だと工事現場になってしまう。

司会:去年はのぼりを50本立てた。しかし、今年はだめと言われた。大きな看板もだめ。そういうものにスポンサー名を掲載するなどして、協賛金名目の資金を作っていくのが厳しくなっている。

大西:ほとんど持ち出しでやっている。今回は文化庁の助成が得られたが、現金が入るのは来年。1000人入場しても採算はとれない。チケットだけでなく、テントなどに協賛の広告をを出したいが駄目。広告費も取れない。隣のサッカー場(横浜マリノスの練習場がある)には広告がある。仮設劇場が危ないと言うけど、横浜トリエンナーレのコンテナ(山下公園にコンテナを組み合わせた歓迎門があった)、それほうがとっても危ないと思う。節約するしかない。

松本:今回の琵琶湖公演は客席540×9公演。4000人ぐらい入場することで採算を計算する。今回は役者・スタッフの宿泊代、土地は県が。何千万円が動いていると思う。

司会:横浜フリンジの土地代は73万円、市が共済なら減免措置があるのだが。

遠藤:聞いていると頭にくる。不景気で、このまま行くと助成も無くなる。やっていけるか。バブルの頃、1本2億ほどの公演もやった。10年前、東京に3000の劇団があったが、それらが2・3万人の観客を取り合っていた。埼玉(彩の国のことと思う)はホリプロと提携している。東京は良いけど地方はどうなっていくのか。立派な劇場を作るばかりでなく、人を作ることに力を入れるべきでないか。東京も客が減っている。シアタートップス(2009年3月で閉館?)、ベニサンピット(2009年1月閉館?)もつぶれる。人形劇もジリ貧。73万円もとるのは不届きである。

司会:関東はテント、関西は丸太で劇場を作っている。

松本:かろうじて成り立っている。演劇は先細りになっているような感じがする。劇場はあるものでなく、為らすもの。楽して演劇することは演劇人の墓場になる。そういう状況を検証しなおして、若い人に伝える必要があると思っている。

遠藤:80歳になる。演劇をやりたい人はいる。極限ではもっている。ナンシーの演劇祭でテント公演をした。その時、寺山修二が「邪宗門」を上演した。シンポジュームのパネラーで同席したが、大喧嘩になった。私は少ない人に見せることを考えていた。寺山は「書を捨て街に出よう」を上演して多くの人を集めようとしていた。そこで意見の相違があり混乱、演劇はやめろと学生のアジテーションがあった。それが新聞にも載って。おかげさまで大入りだった。

司会:静かな演劇に対するダイナミックな演劇もあってよい。金を出せば劇場が借りられる。しかし、テントのように非日常空間も必要。大阪の劇団にもフリンジに参加して貰いたい。

大橋:(松本に、若い人が劇場建設のような)大変なことを良くやりますね。

松本:わからない、なぜやるのか。説明するとすぐやる。訳わからないけど何となくやっている。すると居心地が良くなってさらに続く。

大橋:(横浜フリンジ周辺はぬかるみで雨が降ると)泥を汲み出す仕事がある。若い人は「演劇をしにきたのに」と言うけど、「それも演劇だよ」と言う。すると、「便利な言葉ですね」と言われる。なぜ野外公演をやるのかと言えば、立ち上がったときの充実感。それで2回目をはじめた。

大西:維新派をせひ横浜に。

松本:脚本・演出・そしてプロデューサーみたいなことをやっている。良い脚本だからお客さんが着てくれるわけでない。琵琶湖でやることにインパクトがある。大阪人は照れ屋が多い。漫才師みたいな形で。(市電ウドンのセット準備で構想がどんどん膨らむことに)ジオラマ(セット模型)から壮大な光景ガ出現することをアピールすると盛り上がるかも知れない。プロデューサーの力である。

(舞台ホリゾントの開口部を開く)

大橋:額縁で切り取ると、見慣れた風景がまた異なる。観客席から見た舞台の延長線上にコンチネンタルホテルが位置するように計画した。

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コメント

創り手の人々の熱い気持ちが伝わってくるような、
エネルギーを感じるテント公演を体験しました。
演目も、テントに相応しい内容だったと思います。楽しめました。
今回は、この公演だけを目的に横浜に行きました。
トリエンナーレには、また日を改めて行くつもりです。

投稿: さらら | 2008年11月 1日 (土) 21時59分

 遠路はるばるお疲れ様でした。
 寄り道して、19時過ぎに自宅に戻りました。既に開演には間に合いませんので、テントの雰囲気を写真に収めようとカメラ・三脚を担いで出かけました。到着したら何だか雰囲気がおかしい、皆さんぞろぞろ出てくるではないですか。そうだ休憩か、いやそのまま出てくるではないですか。本日の開演時間は18時、昨日とは異なりました。いい加減な私。それにしても一目で満員だろうと思いました。
 私は明日、例によって当日券で入場します。とりあえず年明けまでは、週中の予定は日替わりみたいな状況です。な~んだかな。来年は維新派も如何ですか。

投稿: F3 | 2008年11月 2日 (日) 00時28分

 「市電うどん・特盛版」、2日17時30分過ぎに会場到着。当日券を購入しようとするも、「入場できるか否かわかりません」と受付から言われました。計画性の無い私は慣れっこで、何とかなると気にもしませんでした。しかし、私が受け取った整理券の20人以上前で、「以降、立ち見」の宣言。上演時間が長いと聴いていたので観劇断念。もたれ掛かる壁でもあれば何とかなりそうですが、テントではそれも期待できませんので。
 たくさんの観客が押し寄せて良かったと思いました。この調子だと3日も同様でしょうか。用有で間際にしか行けそうもないのですが、どうなることでしょう。

投稿: F3 | 2008年11月 3日 (月) 09時40分

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