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2008年9月 4日 (木)

演劇:2008年利賀フェスティバル・劇評2(2008年8月22日)

『ヘッダ・ガブラー』

   作    ヘンリック・イプセン
   演出   中島諒人
   制作   島の劇場

   出演   中川玲奈   ヘッダ 
        西堀慶    テスマン
        赤羽三郎   ブラック判事
        斉藤頼陽   レェーブボルク
        村上里美   エルヴステード夫人、他

   劇場   利賀芸術公演・利賀山房
   時間   16:00~17:30

 ヘッダは故ガブラー将軍の娘。テスマンは学究の徒、大学教授を目指す。二人は新婚旅行から帰ったばかり。テスマンは旅行中も研究に明け暮れ、ヘッダには退屈だった。
 ヘッダが住む町に、やはり大学教授を目指すレェーヴボルクとエルヴステード夫人が到着する。二人は一緒に仕事をしている。
 ヘッダとレェーヴボルク、エルヴステード夫人とテスマンは各々、昔の恋人。ヘッダとエルヴステード夫人は旧知。
 ヘッダはエルヴステード夫人に嫉妬を感じ、2日間で多くの事件を企てるが、かえって自分を追い詰める結果に。

 前半は良い。しかし、事件を企てるあたりから状況が判りにくくなった。たとえば、ブラック判事のパーティで酔ったレェーヴボルクは論文原稿を失くす。それをテスマンが発見し、返すようにと受け取ったヘッダはストーブで燃やしてしまう。しかし、なぜ燃やしてしまうのか。やがて自ら命を絶つのも判りにくい。底流にあるものは嫉妬だろうが、判りにくかった。観る側の課題も大いにありそうだが。

 中川は傲慢な将軍の娘がよく似合う。他の俳優もみなうまい。しかし利賀でシリアスなテーマ選択は不利かも知れない。SCOT系の演目と競合するのは必至。この後も地元公演があるけれど、一度、地元で観て見たいものだ。島根は遠いが。

 

『ロナルド・マクドナルドの物語』

   作    ロドリゴ・ガルシア
   演出   ジョルジオ・B・コルセッティ

   出演   アンドレア・ディ・カーザ  
               ロナルド・マクドナルド

   劇場   利賀芸術公演・創造交流館
   時間   19:00~20:00

 マクドナルド・ハンバーガーの道化である「ロナルド」が仕事をしながら、現代を痛烈に皮肉る。お客さん、仕事、国家。たとえば、日本は原爆を落とされたがその後一生懸命に働いたからいまの繁栄があるとか。

 イタリア語上演・字幕つき。俗語も多く全体の理解が進まなかった。しかし、瞬間瞬間は結構面白い。一人芝居だが、一部に自分が演じる映像との共演もあって退屈もしない。うまく全体把握はできなかったが、楽しい一時であった。

 

『令嬢ジュリー』

   作    A・ストリンドベリ
   演出   億土点

   出演   島田桃依    ジュリー
        古澤祐介    ジャン
        畦地亮佑    クリスティン、他

   劇場   利賀芸術公演・特設野外劇場
   時間   21:00~22:10

 女中・農夫が踊り狂う。ジュリーの父・伯爵は留守。ジュリイは下男・ジャンと踊りに興じ、その夜、ジュリイはジャンに身を任せる。ジュリーは暗い家庭生活をジュリーに打明ける。ジュリーは二人でイタリアに逃げ、新生活に入ろうと自信ありげに言う。
 ところが朝になって主人である伯爵から用事の呼び鈴が鳴ると、ジャンは下男に戻ってしまう。そのように仕込まれてきたからどうしようもないと。ジュリイはジャンのいい加減な話で、二人の思いにずれのあることをを知る。
 やがてジュリイは一夜の夢も果て、打つべき手もなくなり、農夫らのリンチで死を迎える。

 特設舞台は制約が無いと言えば無い。俳優は思う存分に動き回ったが、何でもできるゆえに何かまとまりの無い印象を受けた。

 大きな大八車(わかりますか)を数mの崖上から客席に向けて落としたり(紐がついていて途中で止まるが一瞬はっとする)、その大八車にジュリイを縛り付けて車輪を軸にして高々と晒したり。結構、思いがけない表現、断片的に強烈な印象は残るが、全体として何だったのか。身分階級、人種差別のあった時代、テーマは重大なものだが。

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コメント

はじめまして。
SPの文化芸術を伝えたくて参りました。

愛や未来を分かる時、
人は本来の芸術を表現するようになります。
それが、SPミュージックとして形になりましたので
是非、聞いてみてください。
http://sptc.jp/spmusic/index.html

そして、名古屋講演会にもご参加頂ければと思います。
この講演会から、新しい文化芸術の扉が開かれます。
http://www5d.biglobe.ne.jp/~god/

SPスタッフのTORUより
お知らせでした。

投稿: TORU | 2008年9月 5日 (金) 21時18分

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