舞踏:降りてくるもののなかで -- とばり(日本初演)
演出・振付・デザイン 天児牛大
舞踏手 山海塾(天児牛大、蝉丸、岩下徹、他)
音楽 加古隆、YAS-KAZ、吉川洋一郎
演奏 矢野小百合(Vn)、
佐藤万衣子・任キョンア(Vc)
吉川洋一郎(Synth)、他
舞台監督 中原和彦
劇場 北九州芸術劇場・中劇場
公演 2008年9月20~21日
鑑賞 2008年9月20
舞い終えてゆっくり暗転する舞台に、舞踏手たちが美しい。漆黒の闇が降りる前の最後の輝き。
「”とばり”とは/室内に垂れ下げて/室内を隔てるのに用いる布のことである。/が、古来”夜のとばりにつつまれる”/など、昼から夜への変化に用いられた言葉である。 天児牛大」
7つのタブロー、「Ⅰ.虚空から」「Ⅱ.夢の中の闇」「Ⅲ.写しあうものたち」「Ⅳ.闇の中の夢」「Ⅴ.夜の青」「Ⅵ.降りくるもののなかで」「Ⅶ.虚空へ」。
その一つ一つを描写する能力は私には無い。例えば、天児のソロで、虚空に向けて大きく口を開ける場面がある。何かを叫んでいるようだ。何かに抗っているようでもある。
ただ、その場面場面を切り出しても何かが判るわけで無い。全体を通してクレッシェンドして、最後に転調(暗転)する。とばり。そして、唐突に輪廻、無窮動の言葉が頭の中に浮かび上がる。
印象深い舞台を支えた舞台美術と音楽の功績も大きい。
ホリゾントに無数の小さな明かりが輝く。天空を彩どる星空のよう。舞台中央に直径5m程の円形の台、高さは10Cmもなさそう。やはり無数の小さな明かりが輝く。それは天空を縮小した星座盤。舞台進行につれ変化する明かり。自然と人工の境界で舞う。
音楽は独奏ヴァイオリンの趣のある部分、電子音が類似のメロディを繰り返す部分。音楽だけを取出して聴きたいと思わせる。音楽もテーマに収斂する。
不遜な言い方になりそうだが、天児の舞踏は判り易い。相性が良いのだろうか。三回しか観ていないわりには大胆な発言、独りよがりかも知れないが。テーマに収斂し、そこから自分の思いが展開していく。だから良い舞台だと思う。東京公演にも出かけるか。
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コメント
未見なので、今回は行こうと思っています。
日程的に無理かもしれないし、思い立っても買えないかもしれないし、何とも言えないのですが、一度は行かなくてはと言いつつもう何年もたってしまいました。
F3さんとは相性がいいのですね。
そう聞くと自分とはどうだろうと思ってしまって余計行きたくなります。
投稿: strauss | 2008年9月23日 (火) 00時06分
引越しが済んだばかりで何かとお忙しいでしょうが、ぜひ出かけられることをお勧めいたします。山海塾は一度観ておいて損は無いですよ。私ももう一度出かけたいと思っています。
投稿: F3 | 2008年9月24日 (水) 00時26分
早速チケットを取りました。
二作品を観ます。
楽しみ♪
投稿: strauss | 2008年9月28日 (日) 01時45分
素早い行動、楽しんで下さい。
最近、週3の外泊(仕事ですよ)で結構疲れますね。週末は何とかフリーですが。11日から、維新派公演を観に琵琶湖まで出かけようかと思っています。山海塾も日程が重なっていますから、もう決心しないと。
投稿: F3 | 2008年9月28日 (日) 09時34分
行ってきました。
簡単な感想をブログにアップしましたが、
音楽に触れるのを忘れていました。
音楽はすごく良かったです。
舞踏に疎い私には少し高度だったかな、との印象。
来週を楽しみに。
決断されましたか?
投稿: strauss | 2008年10月 4日 (土) 00時10分
お疲れさまでした。
抽象的な面が強いので、戸惑うこともありそうに思います。ブログ一読して、そのように受け止められたかなと思いました。
私は好い加減で深く突き詰めないので、全体的にどうかと判断するだけです。山海塾は全体的にきれいだと思います。美術はどうでしたか。
最近移動が多くて疲れ気味。先の予定も成り行き。維新派のチケットは希望日が入手できず(遅いから当たり前)、当日券で勝負か。あるいは当日券で山海塾(あるかな)か。本日、家に戻ってから考えます。お目にかかれると良いのですが。
投稿: F3 | 2008年10月 4日 (土) 12時52分
大体において、舞踏は抽象的なものが多いですよね。嫌いではありませんが、ちょっと人を超越したものを想像してしまって、届かないと思ってしまうのかもしれません。
美術も良かったです。ため息が出るくらいきれいでした。だからそれを楽しめばいいのでしょうね。
そんなに考えているわけじゃないんですよ。
考えないから置いていかれる気がします。
12日に娘と行きます。
昨夜はかなり空席がありました。来週はどうでしょう。
投稿: strauss | 2008年10月 4日 (土) 19時37分