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2008年8月 2日 (土)

読書:最近の読書から(2008年7月)

1.『「世間」とは何か』
    阿部謹也著、講談社現代新書1262、740円(税別)

2.『刑法入門』
    山口厚著、岩波新書1136、740円(税別)

3.『見えないアメリカ』
    渡辺将人著、講談社現代新書1949、740円(税別)

4.『戦争絶滅へ、人間復活へ』
    むのたけじ・聞き手 黒岩比佐子、岩波新書1140、740円(税別)

 

1.『「世間」とは何か』

 切り離したくとも切り離せないのが世間。書題に惹かれて読んだ。多少思惑が違ったのは、古典から近代の文学作品を通して世間を見つめていること。兼好、親鸞、西鶴、漱石、荷風。
 『第1章・「世間」はどのように捉えられてきたか』は『歌に読まれた「世間」』から始まる。「世の中は空しきものと知る時しいよいよますます悲しかりけり 大伴旅人」。万葉の空しさには恋の背景があるという。しかし例え世の中がうるさくとも万葉歌人は戦っている。古今和歌集の歌人たちは万葉から変化している。少なくとも世の中は受け入れなければならないことを知っていた。
 全体を、私はそうですかと受け止めるだけの能力しかない。敷居が高かった。今からでは遅いかも知れないが少しづつ下地を付けよう。

 

2.『刑法入門』

 裁判員制度が近々始まる。人を罰するのは大変なこと。あらぬ嫌疑をかけられたら果敢に立ち向かうことも必要。好む好まざるに関わらず刑法を身近にする必要がある。
 本書は「犯罪と刑罰とは何か」「犯罪は法律で作られる」「犯罪はどんなときに成立するのか」「犯罪はどんなときに成立しないか」の4章で構成。
 刑罰は刑法で定められ、死刑・懲役・禁錮・罰金・拘留・科料・没収がある。罰金や科料を納められない場合の労役場留置、没収に換わる追徴、これらで日本にある刑罰の全て。という基礎的なことから、判例の変化、学術的な対立点などが平易に解説される。類書を知らないが、本書は刑法入門として優れていると思えた。索引があるのも、あとがきで知識を深める書物が案内されているのもありがたい。いずれは読みたい。その前に本書を再読、三読して理解を深めようと思う。
 多くの方に一読を薦める。

 

3.『見えないアメリカ』

 「保守とリベラルのあいだ」とサブタイトルにある。保守とリベラルを一段階ブレークダウンすると、アカデミックな保守とリベラル、土着の保守とリベラルになる。さらにブレークダウンしたら。「乖離」や「断絶」があるにも関わらず二大政党システムになぜ収まるのか。実のところ両者の「接着剤」があるという。
 「接着剤」が何かはよく判らなかった。恐らく、ここに出る人名・地名・各種用語がわからないから全体像が判らないと思う。それにも拘わらず保守だリベラルだと判ったように済ませる私に気づく。内容は判らなかったけど、それだから判ることもある。どのような本でも読んでみるべきか。

 

4.『戦争絶滅へ、人間復活へ』

 むのたけじを詳しく知らないが信念の人と感じる。例えば「ものを見るときに、いったいどちらの側に立つのか、大きいものと小さいものが対立していたら、私はまず小さいものの側へ行きます。そして、強そうなものと弱そうなものがあったら、弱そうなものから見る」、この視点が行動の根底にあるからだろう。
 敗戦の日に戦争責任を取る形で朝日新聞社を去る。その後、週間新聞「たいまつ」を刊行して30年、そして休刊して30年。いま、朝日新聞社を去った選択を悔いる。残って「本当の戦争」を伝えなおすべきであったと。
 世界に戦争は無くならない。太平洋・アジア戦争の悲惨さを語れる人も少なくなる。「有事」という名の戦争準備が進む。今93歳のジャーナリストの一言一言を噛締めるのも平和に繋がる一歩かも知れない。
 多くの方に一読を薦める。

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