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2008年6月28日 (土)

美術:神奈川県立近代美術館鎌倉館・あの色/あの音/あの光

  会期   2008年5月31日(土)~8月31日(日)
  開館時間 午前9時30分~午後5時(入館は4時30分まで)
  休館日  月曜日(ただし7月21日は開館)、7月22日(火曜)
  入場料金 一般 700円、
       高校生以下の方、障害者の方はすべて無料
  鑑賞日  2008年6月27日
  公式HP http://www.moma.pref.kanagawa.jp/museum/

 さわやかな風が吹き渡る美術展、と形容したいほど。押し付けがましい主義主張も感じられないし、これ見よがしの大作があるわけでもありません。いつか過ぎてきた道を振り返るような、子どもの頃に戻されるような思いがします。親と子どもが一緒に楽しめる夏休み向けの好企画。

 さわやかな理由の一つ。それは、来館する子どもたち、中でも横浜国立大学教育人間科学部附属鎌倉小学校の子どもたちと3年にわたり関わってき活動が展覧会につながっていることもありそうです。展示作品の間に、子どもたちが美術館周辺でスナップした写真が展示されています。それが結構うまい。私の視線では行き着くことのないアングルで美術館周辺を切り取っています。

 第一室の初めに「関根正二・少年」。横顔、赤く染まったほほ。手に持つ一輪の赤い花を見ているようで、その食い入るような視線は花の射抜いてはるか彼方を見ているようにも思えます。視線の先には何があるのでしょうか。あるいは自分の未来。晩年の作品と言いながら、病のためわずか20歳で夭折する関根です。もっと生きたかっただろうな。

 続いて「黒田清輝・逗子五景」、百年少し前の風景。今の逗子界隈の眺めからは想像できません。「熊谷守一・きんけい鳥」、あざやかな色彩が目をとらえます。その他、シャガール、浜田知明、・・・。どれも素直に見ることができます。判るとか判らないとか、そんな思いは少しも浮かびませんでした。

 第二室の初めは「吉村弘・ミ/ズ/ナ/リ」。1m四方に満たない器に水が満たされています。その下部に音響装置が設置されているのでしょう。時々、減衰音が発せられると水は音の模様を描きます。減衰しながらビブラートがかかったりして、模様は穏やかに、そして鋭く変化します。風が水面を吹き渡るようです。

 他に音の作品が4点、どれも楽しい気持ちにさせてくれます。他にエッチング作品などが続きます。階下には彫刻作品など。

 A3両面刷りの作品リストを頂けます。これは有難い。他の多くの美術館でも倣って欲しいものです。
 そして、小さなきれいなリーフレットも頂けます。子どもが一緒ならば話の種になりそうですよ。内容はご自身で確認してください。

 鎌倉に散歩に出かけた折にでも立ち寄っては如何でしょうか。
 なお、6月1日(日曜)は過ぎていますが、7月6日(日曜)、8月3日(日曜)は、18歳未満または高校生以下のお子様と一緒にご来館されるご家族の方は、神奈川県立近代美術館の展覧会を無料観覧できるとのこと。詳細はHPなどで確認して下さい。

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