読書:最近の読書から(2008年5月)(1)
1.『本と映画と「70年」を語ろう』
鈴木邦男・川本三郎著、朝日新書110、740円(税別)
2.『港区ではベンツがカローラの6倍売れている』
清水草一著、扶桑社新書026、720円(税別)
3.『占領と改革』
雨宮昭一著、岩波新書1048、700円(税別)
1.『本と映画と「70年」を語ろう』
乾と坤、著者二人の根本思想は対極にある。本書は鈴木の念願が実現したもの、「はじめに」でそう記す。一方、川本は「あとがき」でこの話は正直驚いたと。そして、実現に至った理由を、団塊の世代より少し上の同世代、若いときに新聞社にいた、二人とも逮捕歴がある、と記す。
タイトル中の「70年」とは1970年代のこと。第一章・赤衛軍事件と全共闘へのシンパシー、第二章・映画・文学に見る昭和史と戦争、第三章・右翼・言論テロ・天皇。そういう時代もあった、私には遠い世界のことであったが。今の若者はおとなし過ぎるか。
2.『港区ではベンツがカローラの6倍売れている』
第2章・豪邸格差。芦屋市六麓荘町と尼崎市阪神(誤植?阪急となっている)沿線。7年余生活した尼崎が話題で一読。大阪・神戸間の最も山側を阪急電車、最も海側を阪神電車、その間をJRが走る。尼崎市には67軒の銭湯があり、JRより山側に10軒、海側に57軒。風呂無しアパートは銭湯の数に比例するらしい。豪邸との対比である。著者は格差社会は本当に不幸なものかと問いかける。
第1章から順に、「ベンツ」「豪邸」「クルーザーとスーパーカー」「別荘」「(クレジット)カード」「外国人」「フーゾク」「生活保護」。ここで私が格差と思うのは「生活保護」、最後のセーフティネットのみ。ちなみに生活保護率日本一の大阪市西成区、最低の富山県。
格差とはどういう意味で用いますか。
3.『占領と改革』
1945年当時、戦争の帰趨を巡って三つの考え方があった。第一は東条派を中心とする強硬な戦争継続論、第二は昭和天皇も含めた一撃平和論、第三が近衛などの早期平和論。終戦が早まったのはヒロシマ・ナガサキの原爆投下とソ連参戦もあったが、それでも本土決戦に至らない保障はなかった。それが阻止できたの反東条連合の政治指導部がすでに形成され、存在したから。私はなるほどと思った(常識か?)。
横浜市内に進駐軍がいたころを鮮明に記憶する。市電で三渓園に向かうと本牧辺りは異国であった。フェンスの向こうに広がる別世界。ただし、占領がなくても戦後改革は行われたと言う。その原点は総力戦体制、そういう力はどこかに蓄えられていたのであろう。とりあえず読了したが、良く理解できたわけでない。
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