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2008年5月17日 (土)

美術:そごう美術館・佐伯祐三展

  会期   2008年5月10日(土)~6月22日(日)
  休館日  会期中無休
  開館時間 午前10時~午後8時(最終日は午後5時閉館、入館は閉館の30分前まで)
  入場料金 大人1,000円
  鑑賞日  2008年5月14日
  公式HP http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/

 「そごう美術館」は、横浜駅東口の「そごう横浜店」6階にあります。いわゆるデパート美術館の範疇と思われるかも知れません。しかし、百貨店内にある博物館としては日本で初めて博物法に基づく登録がなされた本格的な美術館です。

 以前知って「本当?」と思ったのですが、博物館と美術館は法的な区別がありません。法によれば『「博物館」とは、歴史、芸術、民俗、産業、自然科学等に関する資料を収集し、保管し、展示して教育的配慮の下に一般公衆の利用に供し・・・』となります。設置は地方公共団体あるいは法人で、規定による登録がなされたものが博物館です。個人名を冠した博物館はあっても、個人所有の博物館は法的にはありえないのでしょう。物事を厳密に考えることは難しいものです。

 「佐伯祐三展」、記憶をたどれば1回目は「没後50年記念・佐伯祐三展・1978・名古屋市博物館」。仕事の関係で、現在も行き来する知多半島東岸にある工場の独身寮で生活していました。休日に名古屋市内まで出かけて鑑賞。「郵便配達夫」のポスターを購入、パネルに仕立てて寮の部屋に掛けておいたものです。

 2回目は「生誕100年記念・佐伯祐三展・1998・大阪市立美術館」。尼崎市近辺で単身赴任していた時期です。JR天王寺駅から大阪市立美術館へ向かう道路はカラオケ街道と名づけたいほど多数の簡易な店が建ち並び、歌ったり踊ったりの光景が繰り広げられていました。通り抜けるのに思わず身構えた記憶があります。その後、撤去されたとのニュースを見かけました。

 そして3回目、久しぶりで「そごう美術館」へ。
 展示されている作品は非常に多いです。短い生涯を思えば実に多くの作品を残しています。その中でしっかり記憶に残っている作品、残っていない作品。

 6・7点の自画像、大体好きです。短い人生を予感しているのか、少し左に向けた顔は深い静寂に沈んでいます。

 他の自画像が上半身を描くのに「立てる自画像」は全身です。しかも顔の部分を引っかいてあって詳細不明。カンバス(?)の片面に「ノートルダム寺院」を描き、その反対面に「立てる自画像」を描いているので展示は天地逆、「ノートルダム寺院」面を基準にして展示しているためです。「立てる自画像」、本来は没になる作品なのでしょうか。しかし、華奢な体で、どこにも力が入らず、ただ何となく立っているような表現は、過去の自分と訣別する意思の表れと理解しました。他の作品と随分と異なる印象を受けます。

 多くの風景画、パリ・下落合・大阪。寸暇を惜しんで描き続けているかのようです。全般的に人の気配はなく、無機質な印象です。絵の具をパレットナイフで延ばしたようなタッチが、無機質な印象をより強めます。「黄色いレストラン」「ノートルダム寺院」「モランの寺」、同じテーマの作品が多く1枚1枚の印象は異なりますが、好きな作品は何枚かあります。

 会場の一番最後に「郵便配達夫」、突き詰めればこの一枚を見に行ったようなものです。
 白いあごひげを生やし、制服・制帽でイスに座る郵便配達夫。体全体が左に傾いているのは実際にそうだったのか、表現上の理由かは判りません。生き生きした表情は見えませんが、全体が比較的明るい色調です。残された少ない命、一人の人物と対峙してカンバスに留める作業、どういう気持ちだったのでしょうか。

 30年程前、「郵便配達夫」を初めて観たとき何も背景を知りませんでした。今多少知識が増えています。しかし、作品に対する思いは当時と変化していません。成長していない証とも言えそうですが、まあ仕方ないか。それより30年を経過して同じ絵の前に立てること、それが何となく貴重のように思えました。

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コメント

先日の鎌倉で佐伯祐三の絵を何点か観ました。印象強く残っています。
横浜は近いのでその気になれば行けるのですが、忙しい時期だなぁ。
ところで、「貧困大国アメリカ」を読みました。日本にはアメリカのような移民問題はあまり多くはないと思いますし、軍隊もないのでそこまで深刻な状況にはならないかもしれません。ですが、確実に後を追っている気はしました。格差の広がりで、医療問題、教育問題、どれをとってもアメリカのようになるのはさほど未来のこととは思えません。
話はそれますが、アメリカのマイケル・ムーア監督「Sicko」を御存じですか?医療問題(保険)を取り上げたドキュメンタリーです。娘に観るように勧めたら、怖くて観られないと言われました。この本もいらないと言われそうです。
ああ、それと、やっぱり鉄腕ダッシュ見逃しました……。

投稿: strauss | 2008年5月18日 (日) 23時19分

 少し調べて判りましたが、佐伯祐三展は比較的多く開催されているようです。テーマが具体的ですし、若くしてその生涯を終えたことなど、人をひきつける要素は多いと思います。比較的鑑賞しやすい画家と思いますのでまたの機会にでも。
 「貧困大国アメリカ」に書かれてる内容は日本とは異なる部分も多いと思います。しかし、日本には食糧や資源問題が潜在します。アメリカとは別の要素が影響する可能性があるようにも思います。これからもいろいろ眺めてみようと思います。
 マイケルムーアの名前は承知しています。「Sicko」も話題としては認識しています。しかし、彼の作品を、というか映画に足を向けないので詳細は認識しません。少し方針変更しようとは思っています。
 本日(もう昨日だ)の鉄腕ダッシュ、自然食品の店(私は何回も行っています)、せんべい屋(知多半島周辺には50軒もあるそうです)、残念ながら半田運河は素通りで「亀崎の潮干祭」のからくり山車を紹介していました。撮影は祭り(5月3・4日)の後だったようで、室内でからくりを操作していました。その後、橋を渡って対岸に渡りました。次は三州。瓦、吉良の仁吉、吉良上野介、竹島などが知るところです。さてTVでは。

投稿: F3 | 2008年5月19日 (月) 00時41分

映画は見始めたらとまりません。
はずれることも多いから最近は信頼している下高井戸シネマばかりですが。
F3さんは行かれる先々でこまめに動き回ってらっしゃるんですね~しかもお詳しい。
見習わなければ。

投稿: strauss | 2008年5月20日 (火) 01時22分

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