音楽:R.シュトラウス・歌劇「ばらの騎士」
指揮 沼尻竜典
演出 アンデレアス・ホスキス
元帥夫人 岡棒久美子
オックス男爵 マスクス・ホロップ
オクタヴィアン 加納悦子
ゾフィー 幸田浩子 ほか
合唱 びわ湖ホール声楽アンサンブル
二期会合唱団
児童合唱 赤い靴ジュニアコーラス
管弦楽 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
会場 神奈川県民ホール大ホール(3階6列13番)
公演 2008年3月22・23日
鑑賞 2008年3月23日13時~17時20分(休憩25分×2回)
第1幕。元帥夫人とオクタヴィアンの後朝、そこに従兄のオックス男爵が訪れる。あわてる二人。没落貴族の男爵は富裕な商人・ファニナルの一人娘と婚約したので、使者となる「ばらの騎士」を紹介して欲しいと言う。夫人は従弟のロフラーノ伯爵(実はオクタヴィアン)を薦める。一段落して、夫人は自分も年をとり、いずれオクタヴィアンは去っていくと言う。
第2幕。ファニナル家の客間。「ばらの騎士」と男爵が訪れる日、婚約者・ゾフィーは落ち着かない。やがてオクタヴィアンが到着、銀のばらを受け取る。が、一瞬で二人の胸に恋心が沸き上がる。
祝いの場で男爵の横暴な行動に、ゾフィーは結婚しないと言う。しかし、男爵は彼女を連れだそうとし、怒ったオクタヴィアンは剣で男爵の肘を突くが、騒ぎを詫びて退場。ゾフィーは父親に結婚取りやめを懇願するが聞き入れられない。一方、男爵はマリアンデルから逢引の手紙を受け取る。オクタヴィアンの策略とも知らずに。
第3幕。第2幕と同日夕刻。男爵は追い詰められる。そこに元帥夫人が現れ、オクタヴィアンにマリアンデルの扮装を解くように言う。男爵は驚くも状況を悟る。同時に、オクタヴィアンが元帥夫人の寝室にいた事情も察する。ゾフィーも二人の関係に気付いて呆然とする。元帥夫人は、先日予期した時が早くもきたことを悲しむが、祝福してオクタヴィアンをゾフィーの元に行かせる。
「バラの騎士」に行くのに私の頭の中では「乾杯の歌」が響いていました。会場に、「バラの騎士」と「椿姫」のポスターが並び貼られているのを見て、そうだ、今日は「バラの騎士」だと思いなおしました。ぼけた私。
全体的に淡々と進んだとの印象でした。強く記憶に残る歌もなく、印象的な合唱もなく、そうかといって悪いところがあるわけでなし。気持ちも強くのめりこむことも無く、しらけることもない。教科書のような感じでした。ネガティブな感じはありませんが、まあ私の感想です。
舞台・衣装・かつらは、ベルリン・コーミッシェ・オーパーのプロダクションによるとのこと。
衣装・かつらはともかく、舞台のつくりは観客にとって大きな影響がありました。舞台に大きなサイコロ状の空間があり、客席側の一面は開口しています(当たり前)。大きさは舞台間口の半分程度、その周囲は黒幕で塞がれています。客席はそのままに舞台を半分にしようなものですから、1階前方左右客席からは見えない部分が多かったと思います。私は安価な後方席でしたから何の支障もありませんでしたけど。白と黒を貴重にした舞台は美しいと思いましたが、県民ホールでは問題ありかなと思いました。
第1幕・第2幕はマリア・テレジア統治下の架空のウィーンを彷彿させる舞台・衣装。第3幕は現代風な舞台に変わり、例えば円形の窓や出入り口に変わり、随分とモダンな作りに変わります。衣装は役者によっては現代風であったり。混沌していることで、物語の時代性が不明になりました。いつでも、どこでもあることだと言うように。
第2幕の途中、混乱の場面でサイコロの左側が持ち上がりました。床を傾けることで不安定な状況を感じさせます。第3幕ではサイコロの右側が持ち上がっていました。制約下で実現する舞台もなかなか興味深い。サイコロにした理由がここで判ります。
言ってもしょうがないのですけど、オクタヴィアンは男装の麗人であって欲しかった。加納悦子は女性らしい女性に見えてしまう。オックス男爵と身長差が40Cmほどあると見ました。戦っても勝てないだろうと思えてしまうから、少し興ざめです。本当に、言ってもしょうがないのですけど。
昔、雑誌で読んだ「B・ファスベンダーのオクタヴィアンか、オクタヴィアンのB・ファスベンダーか」って、どのような感じだったのでしょうか。DVDで観てみようかな。
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コメント
オペラは難しい面がありますね。
役者は歌手でもあるわけですから、
先ず歌が良くなければならず、
そうするとイメージの人物とかけ離れた容姿だったりもします。
興ざめという思いは結構ありました。
「バラの騎士」は未見ですが、モーツアルトの歌曲は華やかで好きです。
投稿: strauss | 2008年3月29日 (土) 00時34分