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2008年3月 1日 (土)

音楽:ピアソラ・オラトリオ「若き民衆」

 プログラム (1) ピアソラ:プンタ・デル・エステ組曲
       (2) 小松亮太:バンドネオン、ヴァイオリン、弦楽器のための2楽章(世界初演)
       (3) ピアソラ:オラトリオ「若き民衆」(日本初演)

 出演       小松亮太(バンドネオン)        (2)(3)
       北村聡(バンドネオン)          (1)
       カティア・ビケイラ(女性歌手) (3)
       パブロ・シンヘル(ナレーター) (3)
 指揮    齊藤一郎
  演奏    特別編成オーケストラ/合唱

 会場    東京オペラシティ コンサートホール(3階L2列27番)
 公演    2008年2月29日
 鑑賞    2008年2月29日(ほぼ満席)

 「このオラトリオが後世にグレイトな作品なのか、半分楽しみ、半分実験のつもりで書いた「彼個人の意欲作」なのか、正直言ってまだ全然わからない。とにかくピアソラがせっかく書いた大作だ。一生懸命この初演をやる。来ていただくお客様には、そこのところに賭けていただきたい!」と、小松亮太はチラシに書いています。

 会場の熱狂振りをみればお客さんは賭けに勝ちました。私も一夜のプログラムを大いに楽しみました。ただ、グレイトと言うよりは意欲作なのかも知れない、という思いも残りました。

 席の関係で舞台半分強しか見えませんでした。その範囲で、チェロ8、コントラバス6。ビオラは数えませんでしたけど、管がないだけ((1)では4名が加わる)でフルオーケストラです。それに、ピアノ、ギター、ソリストが加わります。さらに、スペイン語の日本語翻訳も困難でしょうからそのまま。編成からして、演奏会に載せることすら難しいと想像できます。壮大ではあるけれど親しむ機会が限られる、という面でも意欲作と思えます。

 それにしても、この曲の演奏を実現した小松亮太・関係者に大きな拍手を送りたい。二度と聴く機会がないようにも思えます。もし録音でよければ、「NHK FM ベスト オブ クラシック」が収録していました。放送日時未定ですが。

 「プンタ・デル・エステ組曲」、三楽章の構成で両端にピアソラを感じました。真中は北欧風楽曲のおだやかで澄んだイメージ。ウルグアイ南東の地、プンタ・デル・エステで作曲されたそうです。この地は、森と海をそなえた高級リゾートのようです。さもありなん。北村聡のバンドネオンの印象が薄かったのですが、交響協奏曲でした。

 「バンドネオン、ヴァイオリン・・・」は世界初演。オペラシティ・コンサートホール会館10周年記念委嘱作品。レント・ショーロ風の二楽章構成。弦トップの演奏で穏やかに始まり、やがて弦合奏へ。しみじみとした曲です。ヴァイオリンの印象が強く残りました。バンドネオンも悪くはないですが。
 前後を強烈なピアソラに挟まれて、多少損をしているかもしれません。繊細な印象でした。

 「若き民衆」、「ラプラタ河の地下に洞窟都市があって、その住民はわれわれの過去あるいは未来の姿かも知れない」という詩人・オラシオ・フェレールの話にピアソラが惹かれて出来上がった作品。ラプラタという言葉が何度も、マチュピチも一回。ラプラタ河のほとりに先祖が住みついて、という歴史観が底流にあると思います。唐突ですが「維新派・nostalgia」が思い浮かびました。私の南米感かも知れません。

 スペイン語上演の翻訳字幕付ですがこれは正解です。アルゼンチンの雰囲気を強く漂わせますし、アルゼンチンタンゴとの印象が強まります。視覚効果も合わせて、雰囲気は重要です。合唱は30人以上の編成ですが、印象は薄い。能力というよりは曲のせいだと思います。合唱が民衆の声なのですが、もっと主張させても良いかな。

 (2)の後のアンコール「小松亮太・土手と君と」。初めて聴く曲ですが、当日の中で最もタンゴらしい曲と感じました。

 (3)の後のアンコール、「ピアソラ・ロコへのバラード」。ナレータのパブロ・シンヘルがピアノを弾いて(多分。ピアノを弾くまねをしてピアノのほうに向かったけど、私の位置からは見えない)、カティア・ビケイラの歌。もう一曲が「若き民衆から河の子どもたち」。

 小松亮太の生演奏を聴くのは10年ぶりくらいですかね。横濱ジャズプロムナードにおける斉藤徹リーダーのグループメンバーとして、その後、神戸ビックアップルで。たまたま二重生活していたので追っかけみたいに。そんなことを思い出しながら出かけたのですが、会場で貰ったチラシに「7つのピアソラ・斉藤徹ほか」が。近い会場を探してでかけようかな。

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