舞踊:フルムーン
演出・振付 ピナ・バウシュ
美術 ペーター・パプスト
衣装 マリオン・スィートー
出演 ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団
会場 新宿文化センター大ホール(1階23列49番)
鑑賞 2008年3月29日14時00分~16時30分(休憩20分)
公演 2008年3月30日まで(新宿文化センター)
2008年4月 2日 (びわ湖ホール)
フィナーレ(明確な区切りがあるわけではありませんが)、10人ほどのダンサーが交互にソロを取ります。目一杯に動く身体各部。選ばれた人間が訓練すると、ここまで動きは鋭くなるものだと感動を覚えます。
それだけではありません。上空から降り注ぐカーテン状の水。舞台奥、左右一杯に延びるプール状の水たまり(10Cmほどの深さと思われます) 。その中で踊るから、ダンサーの動きを増幅するように水が飛び散り、動きに抗うように水がはねます。女性ダンサーの長い髪の毛が弧を描き、それにつれて水の弧ができます。水の膜、しぶきが舞台後方からの照明に浮かび上がります。ダンサーの動きと相俟って息を呑む美しさ。
ダンサーと水の競演、そこにテーマが潜んでいるようです。冒頭、二人の男性ダンサーが、大型の空のペットボトルをブランコのように、10数回大きく振ります。”ボッ”という音。それがテーマを暗示するようです。
舞台上手に大きな岩。その下部はトンネル状になっていて水たまりを覆っています。男性ダンサーは前ボタンのシャツに替えズボン。女性ダンサーは足首まで裾のある単色のドレス。特に目を引く要素はありません。
進行を追うのは困難です。断片をつなげれば、岩の上から滑り降りたり、プールを縦列になって泳いだり、男性にたたかれた女性があやまったり、女性が髪の毛に火をつけようとするのを消し止めたり、コップに高い位置からこぼるように水を注いだり。もちろん、要所要所で水と戯れます。動作は繰り返され、間を置いて反復されることも多く、印象に残ります。
ダンサーの人種・国籍は多様、体型も様々。本水を使うことを除けば特筆することもないような舞台。そこから生み出される感動は何なのでしょう。ピナ・バウシュの舞台は、ピナ・バウシュ以外の舞台からは得られない、独特の感動を心の奥に植えつけてくれます。
強いて言えば、二部構成の2時間10分を少し長く感じました。
東京公演は本日(3月30日)のみ、当日券もありそうです(29日は残席あり)。たまにはダンス鑑賞などいかがでしょうか。オペラグラスがあれば是非持参を。私はフィナーレの間、オペラグラスを放しませんでした。
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