美術:森美術館・アートは心のためにある
会期 2008年2月2日(土)~4月6日(日)
休館日 会期中無休
開館時間 月・水~日曜日10:00~22:00
火曜日 10:00~17:00
(いずれも最終入館時間は閉館の30分前まで)
入場料金 一般1,500円、
鑑賞日 2008年2月9日
公式HP http://www.mori.art.museum/jp/index.html
「アートは心のためにある:USBアートコレクションより」、素敵なタイトルですね。これは「ジョナサン・ボロフスキー:ART IS FOR THE SPRIT」から取られています。展覧会のポスターにも使われているのでHPで見て下さい。
「UBSとは、スイスに本店を置く世界最大級の金融グループ。8万人ほどの従業員、業務展開は50カ国におよぶ。USBアートコレクションは、以前からのコレクションを母体にして2003年に発足。現代美術作品を対象とし、質の高い作品に絞り込んでコレクションを充実している。イギリス人と中国人の二人のキュウレータが情報をリサーチし、作品購入委員会で検討して購入作品を決定する。現代美術に的を絞る理由は、UBSが現在と関わる企業だから(参考:雑誌・BRUTUS、2008年2月15日号)」。このことは、この企画展の重要なポイントですが、そのように思う理由は後で。
今回、1000点以上におよぶUSBコレクションから140点ほどが選ばれています。それらを、
「1.ポートレイトから身体へ」
「2.造られた世界」
「3.ランドスケープから宇宙へ」
という三つのサブテーマに分けて展示しています。このサブテーマは、体、世界、宇宙へと広がっています。
荒木経惟「さっちゃん」、モノクローム銀塩写真の豊かな表現力。思わず土門拳「筑豊の子供たち」が浮かびました。子供たちの元気な時代でした。でもね、現代作品ではないでしょう、近代作品。ウォーホル、リキテンスタイン、然り。
杉本博司「ピーター・スタイブサント」、この世に存在しない人の蝋人形をモノクロム写真。私たちは写真から何を受け止めるのでしょう。過去の人がこの世に生き返ってきたのではないかと思えます。水平線以外を対象にした杉本の作品を初めて見ました。
シンディ・シャーマン、キキ・スミスの作品は何だったかな。陳界仁は毛沢東の長征の再現を自らの背中に刺青で記録した写真。宮本隆司は古い工場の爆破を記録した写真。アレックス・カッツは湖面を滑る二人乗りのカヌーを無機質な写実で表現した絵画。アンドレア・グルスキーの99セントは日本で言えば100円ショップの並ぶ膨大な量の食物等を鳥瞰した写真。畠山直哉のブラスト5707は崖をダイナマイトで爆破する記録写真。・・・・・。
最後に企画展の重要なポイントと私が思うことを整理します。
展示室の各所に置かれたかなりの台数のマッキントッシュ、マウスを操作することで作品解説などを確認できます。全体に見せることに関してよく整理されていました。写真、絵画が中心で美しいと形容して良い内容の作品が大半でした。作品制作年代も50年間ほどに散らばっているように思います。
コレクションの性格からしてあまり猥雑なものは含まれないでしょう。例えば、荒木経惟の「さっちゃん」は良いとして、最近の作品は蒐集されているでしょうか。恐らく蒐集されていないように思います。
見終わって心地良い気持ちになりますが、現代美術の先端を見せてくれるわけではありません。あくまでも「USBアートコレクション」の一部です。現代美術に触れる良い機会だとは思いますが、現代美術の全貌が示されるわけではありません。
どこに行ったら全貌がわかるかって、そんなところはどこにもないでしょう。美術館を渡り歩くこと、あるいは野外(越後妻有トリエンナーレ、直島(少し洗練され過ぎ?)、etc)にとび出すこと。手っ取り早くは「東京都現代美術館・川俣正・通路」でも如何でしょうか。地下鉄・大江戸線にのれば小一時間で到着します。会期もほぼ同一です。
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コメント
「アートは心のためにある」
まさにそうですね。
その時の気持ちによって受け止め方も違います。余裕がある時は心地良くて、わくわくしますし。
でも、荒れている時に癒されることはないですね。痛く感じてしまいます。
だからというわけではありませんが、
私は明日から北海道に流氷を見に行ってきます。
投稿: strauss | 2008年2月11日 (月) 22時52分
自然もまた心を豊かにしてくれそうです。オホーツクの海は随分と寒いことでしょう。体に気をつけて、道中も気をつけて、楽しんできてください。当然、おいしいものも沢山あるでしょうから、それも楽しんできてください。
旅行後のブログ記事を待っています。
投稿: F3 | 2008年2月12日 (火) 00時05分