随想:去年今年貫く・・・
「去年今年」と書いて「こぞことし」。俳句の季語。
去年と今年は瞬間的に切り替わります。しかし、人間の感情は去年を引きづりながら徐々に新しい年の希望を新たにするわけで、決して瞬間で切り替わるものではありません。そのような感じが籠った季語と解釈しています。
この季語を用いた句に、
去年今年 貫く棒の如きもの 高浜虚子
があります。この句しか知りませんが、これ一つでいいかな。なんだか良くわかりませんが、でも良くわかります。
私の去年今年は「J.S.Bach Goldberg Variationen」を聴きながら過ぎてゆきます。格好良すぎますか。この曲は普段でも良く聞きます。
なぜこの曲が私の年越しの曲になったかはもう定かではありません。「アリアと32の変奏曲」、クラービア練習曲であって、特別の意味があるとも思えません。しかし、32の変奏を終えて再びテーマが聴こえてくると、たゆみない時の流れを実感するのです。そして、新しい年も恙無く過ごせるようにと思います。
毎年、クリスマスの頃になると小林道夫が「Goldberg Variationen」のコンサートを開催します。今年で37回目かな。随分と早い時期から承知していて、毎年のように聴きに行こうと思いながら、実現したのは唯一回です。大阪淀屋橋近くの大阪倶楽部だったと記憶。至福の時間でした。アンコールはいらないと思ったのですが一曲。確か、インベンションの5番。これも良かった。決して気分を削がない選曲です。
この曲のLP・CD、合わせて10枚ほどを持っています。が、先日、小林道夫演奏の1枚を追加しました。初録音だそうです。とりあえず iPOD にインポートしてあります。年末年始の休みの間に済ませなければならない仕事のため、横浜を離れて北九州に来ています。年の変わる頃に、ホテルで一人聴きながら新年を迎える予定です。
2008年を目前にして、新しき年の皆様のご多幸と世界平和実現を祈念いたします。この一年間、お付き合い頂きましてありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。
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