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2007年12月 9日 (日)

演劇:カフカ・審判(その2)

 千秋楽に2回目の観劇をしました。同じ上演期間中に二度観ることはめったにありません。しかし、長期公演の場合は、早い機会と遅い機会に観るのも結構面白いと思います。演じる側の事情もあるでしょうし、観る側のコンディションも変化します。

 上演時間が15分ほど短縮されて、3時間(15分の休憩を含む)になりました。変化の細部を認識できませんが、特に休憩後が淡々と進行するようになった感じです。

 休憩後の最初の場面の印象が変わりました。
 前回の印象を『ヨーゼフ・Kの笠置誠は、見えざる何かに対峙する焦燥感を良く感じさせます。』と書きました。ぎらぎらするような演技で、権力と対峙する表現でした。しかし、今回は、ぎらぎら感が薄れて、権力に対する諦観のようなものが垣間見えました。これが後半、淡々と進行するように感じる伏線のように思います。

 イスに座って上半身をかがめ、テーブルに顎をつけた形で、眼光するどく左右に目を向けているのが前回の演技です。手は、テーブルに載せていなかったように記憶します。
 今回は、同じような姿勢ながら、手をテーブルに載せ、右手は折り曲げて顔に近づけ、左手はまっすぐ前方に向けている。目はうつろでした。

 最後の場面、全裸にされたKが伽藍を進んだあげくに、「犬のようだ」と心臓にナイフを突き刺され二度こねられて叫びます。前回、この台詞がなかったとは思えないのですが、なぜかこの部分の記憶がありません。今回は明確に認識しました。

 原作では、『「犬のようだ!」と、Kは言った。恥辱だけが行きのびるような気がした。(池内紀訳・白水社)』。何に対する恥辱か、それはKに代って私が考えることでしょう。重い課題です。

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コメント

>最後の場面、全裸にされたKが伽藍を進んだあげくに、「犬のようだ」と心臓にナイフを突き刺され二度こねられて叫びます。

私も認識できませんでした!
手を伸ばして口を開けているのはわかりましたが……。
聴き落としたんでしょうか。
しっかり起きていたはずなんですけど。

二度観るというのはいいものですね。
まあ、私の場合ほとんど覚えてないから、
印象の違いくらいなものでしょうけど。
それでも何か違った面を強く印象付けられたりしたら新鮮ですものね!

投稿: strauss | 2007年12月10日 (月) 21時25分

私は結構同じ作品を何度も観るんですが、
たとえば連日観ても、印象が違うことってよくありますね。
動きや表情の違いがそう感じさせるのかもしれませんが、
観ている私自身の、気持ちの状態に左右されていることが多いような気がします。
また、時には、出演されている方から「今回役作りを少し変えてみたけどわかるでしょうか」と謎掛けされて、答えを探すような気持ちで観ることも。
これは何度も観ている私へのご褒美みたいなもので、また別の楽しみでもあります。
何度観ても、そのたびに発見があって見飽きることがありません。
舞台は生きているものなんだなって思いますね。

投稿: さらら | 2007年12月10日 (月) 22時19分

 Straussさん、認識できませんでしたか。最後の舞台では響き渡るように「犬のようだ」と叫びました。同行の妻と「元気が良いね」などと話しました。リアルさを求めるつもりはありません。しかし死に際ですから、そのような感想に至りました。最後に思い切り叫んで鬱憤をはらした、なんてことはないのでしょうけど、そうだったら面白いですね。そういうの、私は好きです。
 全体も変わったように思います。1回目を観たとき、権力と対峙する印象が強烈で、諦観する感じはありませんでした。2回目では対峙する感じが薄れ、諦観する感じが随分と出ていました。
 演出家にもよるのでしょうが、長い公演は何回か観るとその都度異なる印象を抱くかも知れません。演劇評もなかなか難しいものだと思います。

 さららさん、ずいぶんと贅沢な楽しみ方をしていますね。役者さんとの交流もあるのですね。舞台は生きている、まさに生身の人間がやっているわけですから、毎日同じことはないのでしょう。謎かけされて、さて何と解くのか。観るほうもうかうかできませんね。

投稿: F3 | 2007年12月15日 (土) 16時42分

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受信: 2007年12月11日 (火) 21時37分

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