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2007年12月 1日 (土)

随想:忘れないで「美しい国、日本」(その2)

 「路上観察:北九州小倉・文学散歩(1)」でも触れましたが、JR香椎駅、西鉄香椎駅および香椎海岸は、「松本清張・点と線」で事件の発端となる場所です。最近、仕事の関係で時々JR香椎駅を通過(特急は通過)します。いずれ一度は下車して付近を散歩したいと思っています。

 11月24・25日、TV番組の「点と線」を見ました。ビートたけしの鳥飼刑事、他に達者な俳優が多数出演していました。なかなか見ごたえがあってTVも捨てたものではないと思いました。でも、TV朝日の50周年記念番組のようです。めったに見ることはできないのでしょうか。

 ビートたけしの鳥飼刑事、私のイメージよりは攻撃的な表現でした。演出か本人の役作りかはわかりませんが、でも良かった。詳しく知るわけではありませんが、ヒートたけしらしいと思いました。

 事件は昭和30年台前半(雑誌掲載)のこと、すでに半世紀が経過しています。横浜生まれで横浜育ちの私が当時を知るわけはありません。

  いざ子ども香椎の潟に白栲の袖さへ濡れて朝菜摘みてむ (大伴旅人)

 この万葉歌が番組中でも使われていたと思います。すがすがしさを感じさせます。「美しい日本」、まだ残っているのでしょうか。

 地図で確認すれば、香椎海岸からは海の中道が見えて風光明媚なところのように思えます。しかし、現在は中間に島があります。恐らく埋立地、現在の風景は何となく想像できます。そういえば、海岸のロングショットがありませんでした。撮影できないのでしょうね、余計なものが写ってしまうから。そういう意味で50年の重み(あるいは軽さ)を感じます。

 他の場面でも、海岸の小屋や干してある魚網は風雪に晒された重みがありませんでした。恐らくセットでしょうが、ロケできる場所が無いのだろうなと思いました。

 もう一つ印象深い場面がありました。鳥飼刑事が業務命令で仕方なく警視庁を後にする場面です。鳥飼刑事が合掌にてそれまでの謝意を表すと、居並ぶ警視庁の刑事たちが直立不動の姿勢で応える。鳥飼刑事の事件解決に向けての真摯な取り組み、深い洞察などに対する畏敬の念の表現だと思います。職人気質、これも「美しい日本」の良さだと思いますが・・・。職人さんもだんだん少なくなっているようです。

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