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2007年11月11日 (日)

美術:最近の美術展

 名称 『レンブラント版画展-呼び交わす光と闇』
 場所 名古屋ボストン美術館(JR・名鉄金山駅前)
 会期 ~2007年12月9日(日)

 百数十点に及ぶ版画を観るのは結構きつい。10Cm角に満たない小さな版画もあって、目を凝らして観るのは楽ではありません。しかし、観ていくうちに白と黒の世界が実に雄弁であることに気づきます。版画だからか、レンブラントだからか。

 宗教的テーマの作品に強く心惹かれました。強いて一点を挙げれば「ピラトの前のキリスト」。

 キリストは無罪であり、釈放しようとする総督ピラト。しかし、群集は強盗バラバに恩赦を与えるように叫びます。困惑するピラト。その瞬間が切り取られています。バッハ・マタイ受難曲では、コーラスが力強く「バーラバ」と歌い上げる場面です。作品を観ながら色々な思いが頭に浮かびます。

 この場面を描いた絵画を観たことありませんが、恐らくあるでしょう。版画と絵画とでどちらがその場面を深く訴えかけるでしょうか。表現の制約は、かえって鑑賞者の思いを膨らませるように思います。想像の域に留まりますが、私は版画かなと思いました。

 1982年・ブリジストン美術館「レンブラント展」に出展された作品もありました。四半世紀を経てそれら作品に再開して、私の観る目は多少は成長したかなと思いました。あくまでも多少ですが。


 名称 『六本木クロッシング2007・未来への脈動』
 場所 森美術館(東京・六本木)
 会期 ~2008年1月14日(月・祝)

 現代美術に敷居の高さを感じるかもしれません。しかし、六本木ヒルズからの展望を楽しんだついでに、ふらっと立ち寄っては如何でしょうか。あくまでも気軽に楽しみましょう。

 「今、見たい日本のアーティスト36組」、2004年に比してやや小ぶりな感じもしました。それでも興味惹く作品があります。

 吉野辰海の巨大な犬の顔が出迎えてくれます。犬の顔を忠実に作品に仕上げていますが、実物の何倍かに拡大しているので思わずにやり。そして不気味さも感じます。ほかに何体かの巨大な犬の全身像。

 次に内原恭彦のスティッチングを使った幅3mほどの2点のプリント。部分・部分の写真をコンピュータを使って繋ぎ合わせる写真。誰でも出来る行為ですがあえて取り組む理由は。古くて新しい写真の可能性、いや写真を素材にした新しい芸術、ということでしょう。個展を見たい気持ちになりました。

 後は印象に残った作品を。
 まずは榎忠の「RPM-1200」。RPMは「revolutions per minute」で毎分の回転数のこと、金属加工の重要な要素の一つ。見上げるほどの位置に数mの金属円盤。その上に数百の円筒状の金属群が所狭しと配置されています。照明が変化して鈍く輝く様はさながら未来都市。金属円盤の一部に切り欠きがあって階段で中央にまで昇れます。周囲に広がる未来都市。何か思う以前に膨大な作業量を想像して脱帽。

 岩崎貴宏の「Reflection Model」。鏡の上に金閣寺を置いて、実物と鏡像を一体にして作ってしまった、恐らく木製のモデル。平面に展示できないので空中につるしてしまいました。浮遊する金閣と逆さ金閣。思わず微笑んでしまいます。

 佐藤雅彦+桐山孝司の数学の迷宮「計算の庭」。数字が書かれた電子的カードを持って、四則演算の指示されたゲートをくぐりながら合計を83(?)にするゲーム。計算違いで出口で×。取って返して何とか○を貰いました。思わずはまってしまいます。

 人形アートの四谷シモンなどは今更というほどビッグネームだと思います。その他、現代美術界が様々であることを実感できます。能書きは後にして、まずは会場に赴くべし。


 名称 『シュルレアリスムと美術
       -イメージとリアリティーをめぐって』
 場所 横浜美術館(横浜・港未来21地区)
 会期 ~2007年12月9日(日)

 シュルレアリスムを超現実主義と言ったところで何がわかるのか、単に言葉の置き換え。館蔵品が多く、何回も観た作品が多いけれど、一つテーマで並び替えて貰えるのは勉強になります。しかし、シュルレアリスムが判ったわけではありません。

 キリコ・エルンスト・ダリは良いとして、最後の部屋の草間弥生・ボルタンスキー・森泰昌・奈良美智などの作品はなんだ。そうか、最近良く目にするそれらの作品もイメージとリアリティーを基盤にして成立しているのか。

 二回出かけましたが、観客は比較的多いように思いました。現代美術に比して、判りやすい(何が)一面はあるでしょう。

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コメント

版画というのは画家にとってどうなのか、
私には興味があるところです。
たった一枚しか残らないものと、
何枚もを生み出す精魂込めて彫る作業(銅版画ですよね?)。
レンブラントは版画ではその時代の第一人者だったと何かで読んだ記憶が。
どこかで観たことはあるのでしょうけれど全然覚えていません。観てみたいです。

森美術館、最近ご無沙汰です。
杉本博司以来でしょうか……。
週末は人が多いでしょうねぇ。

精力的に行かれてますね!
私は上野であまりの人出に挫折しました。
カフカの「田舎医者」もそろそろですよね。
風邪なんか引いてる場合じゃないので、
気合いを入れて過ごします!


投稿: strauss | 2007年11月16日 (金) 00時28分

 レンブラントは、絵画も版画も傑作を残しているので、本当に「どうなのよ」と聞いてみたいところです。版画は、複数枚の作品が残ることが絵画と大きく異なるポイントとして思いつきます。レンブラント展では、ステートと呼ばれる作品の改変(善)、使用する紙質、洋紙と和紙の差も展示されていました。

 今回の作品は、技法としてエッチングが多く、エングレービングとの併用も。エッチングの場合、刷り枚数が多くなると線が不鮮明になってくるようで、差異を示す展示はなかったと思いますが、そのことも興味あります。知識として認識するのですが、作品を見てわかるわけではありません。

 唐突ですが、カラー写真とモノクローム写真の表現力はどちらが大きいでしょうか。多分対象にもよるのでしょうが、モノクローム写真の表現力が劣るわけではありません。一度だけ訪れた酒田の土門拳記念館でそのように感じたました。絵画と版画はそのような関係ではないかと思っています(どんな関係だ)。

 ご存知かもしれませんが、版画専門の美術館として町田市立国際版画美術館があります。忘れてならないのは鎌倉の棟方版画美術館。

 森美術館、いつも人が多いですね。横浜美術館、散歩の途中で。名古屋ボストン美術館、その方面の職場のレクで(天候の関係で岐阜養老ウォーキングの代替)。

投稿: F3 | 2007年11月17日 (土) 01時06分

F3さんのひとりツッコミには思わずにやりさせられます。

>絵画と版画はそのような関係ではないかと思っています。

ん~……。私もツッコミたいところです。
色がないことで被写体を特定しないと思わせられる部分はあるような気がします。
でも仰るように表現力については全然劣りませんよね。むしろ直接訴えかけるものが大きいように思います。
表現力が劣らないという部分での関係性?ですか?
それとも色はあなたまかせ、みたいな感じでしょうか?

町田も鎌倉もまだ行ったことがありません。
機会を作って是非訪れたいと思います。

投稿: strauss | 2007年11月17日 (土) 12時34分

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