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2007年9月29日 (土)

随想:カフカのこと

 「可不可?」「過負荷?」「家父か?」。いえ、「フランツ・カフカ」のことです。

 この秋、演劇で期待する作品は、シアタートラムにおける2作品交互上演「審判」「失踪者」。原 作:フランツ・カフカ、構成・演出:松本修によるものです。前売りをめったに購入することのない 私ですが、両方とも既に入手しました。

 誰と比較するわけでもありませんが、私は本を多く読むほうだと思います。ただし、小説を読むこ とは多くありません。よって、カフカも暫く前までは読んだことがありませんでした。

 カフカの小説で最初に読んだのは「城」。2005年1月の新国立劇場公演を観るための準備でした。 しかし、読むと結構面白い。何だか判らないけど。でも、これは正確な表現ではありません。部分部 分は把握できるのですが、全体として良くも把握できないという、何とも自虐的な面白さでした。不 条理な小説の不条理な読者?

 新国立劇場の公演は素晴らしいものでした。松本修・モードの公演が好きで良く観ましたが、それ とは異なる感じでした。舞台も大きく、がっちりした構成。何も足さない、何も引かない、という小 説に忠実な演出でした。でも小説を演劇に変える演出の面白さを垣間見たような思いがしました。

 次に読んだのは「変身」。『ある朝、グレゴール・ザムザがなにか気掛かりな夢から眼をさますと 、自分が寝床の中で一匹の巨大な毒虫に変わっているのを発見した。高橋義孝訳・新潮文庫』。

 これをどのように演出するかは興味あるところです。2007年3月・スズナリにおける公演は、四つ ん這いになった数人が、連結した状態でベッドから逃げていくことで表現しました。ザムザが虫にな ったことを暗示しておいて、以降は俳優が人間の姿のままで演じました。他にどのような演出がある かは知りませんが、このような表現で充分に意図は伝わると感じた次第です。

 もう一つ印象に残ったことは舞台美術です。前面にザムザの部屋、奥に居間。その間を透けた幕が 進行に応じて居間を見せたり遮ったりして、観客の視線を部屋や居間へコントロールします。小説を読んでもこのような構造を思いつきません。しかし、一目みればこれしかないとの思いに至ります。松本修は、ここでも何も足さない、何も引かない。あくまでも小説に忠実です。凄い。

 今度の公演の出し物、「審判」は読み終わりましたけど大分時間がかかりました。文字を追いかけ ただけただけのような気がします。何故か、気合が入っていませんでした。

 「失踪者」は一週間たらずで読み終えました。こちらは良く読めたと思います。池内紀訳・白水社のカフカ・コレクションです。初めて池内紀訳を読みましたが、読みやすいと思いました。あるいは 「失踪者」自体が判り易いのでしょうか。

 という訳で、池内紀訳の「審判」を読み始めました。前は、辻ヒカリ訳・岩波文庫です。読み終わった ところで二つを比較してみようと思っています。なぜか、カフカが面白い。

 さて、当日が待ち遠しいです。観終わったら感想を掲載するつもりです。

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