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2007年8月27日 (月)

演劇:利賀フェスティバル2007(1)

 横浜出発は8月22日AM7時半、松本を経由して高山で一泊。さらに金沢を経由して、例年お世話になる利賀の民宿に23日18時に到着。この間の経緯は別に掲載予定です。

 23日は20時開演の「シラノ・ド・ベルジュラック」のみ鑑賞。食事を済ませて徒歩15分ほどの会場に向かいます。

 既に皆さんが番号順に並んでいます。会場はギリシャ風の野外劇場。400名強の入りでしょうか、定員が800名ほどですから空席が目立ちますし、隣の人との間のゆったりしています。しかし、週中にも関わらず山奥の劇場に400名強の人の集まることが、考えてみれば興味深いところです。

 「シラノ」のストーリーの概略は次の通りです。
 鼻の大きなシラノは従妹のロクサーヌを愛していた。ロクサーヌは美貌のクリスチャンを愛していた。シラノはクリスチャンの恋文を代筆することで自分の思いを伝える。ロクサーヌは恋文の素晴らしさゆえにクリスチャンを愛すようになる。やがてクリスチャンは、ロクサーヌの愛すのは自分でなく恋文であることを知り、自ら望んで戦場の露と消える。ロクサーヌは尼寺に入る。訪れたシラノが恋文をそらんじていることを知り、自分が愛していたのはシラノであることに気づく。

 ご存知の方も多いでしょう。容貌を悲観するゆえに自分の気持ちを直截に吐露できない、悲しい男の物語です。

 鈴木忠志は、演出ノートに次のように記しています。
 ロクサーヌとクリスチャンはシラノの幻想として舞台化するのが良い。シラノも、もう一人のシラノの幻想の中に。もう一人のシラノは日本人とする。かくして、物語はフランス、音楽はイタリア、背景や演技は日本的といった組み合わせで舞台化を試みてみた。

 演出ノートを大分端折っているのでわかりにくいと思います。が、鈴木演出は原作の時代と空間を別次元に置換します。テキストの再現ではなく、テキストの精神を抽出して再現する、ということでしょう。よって、和服姿の喬三ことシラノが出現します。

 主人公・喬三を演じるのは新堀清純。身は表に出せないが、気持ちを表に出してしまう複雑な立場を幻想する、複雑な役を好演。水戸芸術劇場、静岡芸術劇場と経験を重ねて随分と貫禄が付きました。
 ロクサーヌは内藤千恵子。美しさを感じさせなければ芝居がむなしくなってしまうところ、終始、美しさを損なうことがありません。はかま姿が、毅然とした美しさをより色濃く漂わせます。空間を日本的なものに置換した意味は大きい。

 記憶は定かでありませんが、演出は静岡芸術劇場で観たときと随分変わったように思います。あらすじが変わるわけではありませんが、多少、冗長な部分を感じました。しかし、この部分を削ると話の展開が急すぎてわかりにくくなりそうです。冗長というよりは間、と表現するのが適当かもしれません。

Img_1543s  舞台を終えて喬三は、番傘を掲げて池の上の花道を遠ざかります。ナイアガラ(花火)の輝く中を。この花火のために野外劇場を使ったと知れます。遠来の観客に対する鈴木忠志のサービスでしょう。
 そういえば、冒頭の刀で切り結ぶシーン、斬られた役者が池に飛び込みました。ここでどよめきが。これもサービス。純粋に演劇を楽しむ方、とにかく利賀に来た方、各々の楽しみ方があります。

 いずれ再演の機会もあるかと思います。多少でも興味を感じて頂いたら、ぜひ、劇場まで足を延ばして下さい。それが病み付きのきっかけになるかも知れません。

 24日に書き上げましたが、通信不調で掲載が遅れました。寄り道をして、ただいま帰宅しました。何回かに分けて掲載します。来年はリアルタイムで掲載できるよう準備を進めておきます。

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コメント

お世話になりました、
和歌子です。
とっても濃い思い出がたくさん出来ました。
来年も、ぜひぜひ参加させて下さい!
少しは成長して伺えるといいのですが……
またちょくちょく遊びにきます!

投稿: 和歌子 | 2007年8月28日 (火) 19時58分

 不思議な空間ですよね、民宿Mは。
 見終ったばかりの芝居を肴にしてお酒を楽しむのは、随分以前から続いています。芝居も楽しいですけど、お酒もね。顔見知りも初めての方も一緒になって喧々諤々。
 終えたばかりですが、来年に向けて調子とスケジュールを整えておきましょう。ちょっと気が早いですか?

投稿: F3 | 2007年8月28日 (火) 23時17分

民宿で4日間ご一緒させていただいた、静岡のMです。
楽しい時間を過ごさせていただき、本当にありがとうございました。
私は今年で3年目、
観劇後の皆さんとの語らいが、利賀に行く目的の一つになってきています。
仰るとおり、もう来年のことを考えてしまっています。
自分へのご褒美をもらえるよう、ちゃんと一年ガンバロウって。
またお会いできることを楽しみにしています。


投稿: さらら | 2007年8月29日 (水) 10時57分

お疲れ様でした。
一足先に帰って更新をお待ちしておりました!
上のお二方同様、観劇後の民宿での語らい、
五年目にして一番賑やかで、心弾むひと時でした。
時間が過ぎていくのがもったいないくらいで。
また「まござ」で貴重なお話を聴かせて頂けるのを楽しみにしています。
お時間がありましたら、雑に書き散らしておりますが、私のブログも覗いてみてください。
またお邪魔します。
取り急ぎご挨拶まで。

投稿: strauss | 2007年8月29日 (水) 23時22分

 さららさん、Straussさん、お疲れ様でした。

 私は、晴れの1週間が終わって平常に戻っています。いや、まだ余韻が残っているかも知れません。

 ゆえあって今年の前半は行動的でありませんでした。利賀を境にして、後半はあちらこちらへ出かけたいと思っています。どこかの会場でばったりなんてことがあるかも知れませんね。

 StraussさんのBlogを見始めました。ボリュームがあるので見切れていませんが。今週末にでもゆっくり拝見します。

 
 

投稿: F3 | 2007年8月30日 (木) 00時32分

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