「反・借景」のこと
先日、浜離宮恩賜庭園を初めて訪れました。都営地下鉄・新橋駅で下車、再開発された汐留の地下街を通り15分ほど歩いたところにあります。
この庭園の歴史は江戸時代までさかのぼれます。要約すると、「徳川歴代将軍によって幾度かの造園、改修工事が行なわれ、11代将軍家斉のときにほぼ現在の姿になる。明治維新で皇室の離宮、昭和20年に東京都に下賜、整備して昭和21年から有料公開される」となります。
この庭園の特徴は潮入の池、今でも東京湾の干満に合わせて海水が出入りしています。その潮入りの池の中ノ島にあるお茶屋越しに観る景色が凄い。江戸時代の面影と汐留再開発の今が重なって見えます。
高層ビル群を消した写真も見てください。
恐らく汐留再開発の前はこのような景色だったと思います。そう思う理由は、再開発地域が旧国鉄汐留貨物駅跡地なので視界を遮るようなものは少なかったと想像するからです。随分と開放的な景観で、気持ちも開放的になりそうです。
「借景(しゃっけい)は、中国庭園や日本庭園における造園技法のひとつ。
庭園外の山や樹木、竹林などの自然物等を庭園内の風景に背景として取り込むことで、前景の庭園と背景となる借景とを一体化させてダイナミックな景観を形成する手法。
庭園外の自然物等についても庭園景観の重要な構成要素とするため、近年の都市開発に際して借景とする山そのものの開発やビルなどの高層建築の建設による景観の変化などについて、借景の破壊という面で紛争が生じることがある。 出典: ウィキペディア」
借景の破壊は、報道によれば各地で起きていると知れます。
さて、反・借景です。当初は遮るものが無い景観に、後から高層建築などができて景観が変わってしまうようなことを言います。と言っても、私が勝手に命名しただけです。既にどこかで使われているかも知れませんが。
もう5年前のことです。宇治平等院を訪れたとき、鳳凰堂の右手に高層建築物が見えることに気づきました。興ざめでした。しかし、不法な建築物だとも思えませんので所有者が悪いわけでもありません。単に規制すれば良いというものでもないし。どうしたら良いでしょうか、美しい日本を守るために。
追伸
先ほど、六本木ヒルズ・森美術館の展望フロアから浜離宮恩賜庭園を遠望しました。写真中央の木の繁った部分がそれです。その上を流れる川が隅田川。それにしても、周囲を高層ビルで囲まれていますね。
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