「ル・コルビュジエ展」のこと
東京六本木・森美術館で開催中の「ル・コルビュジエ展:建築とアート、その創造の軌跡」を鑑賞しました。会期は2007年5月26日(土)~9月24日(月・祝)までです。
副題で主たる内容は理解できます。しかし、建築に思いが行きます。鑑賞者は、何となく建築に関係あるような方が多いように思えました。連れ添いとの会話が何気なく耳にはいったりして、そのように感じました。
特別顧問として、槇文彦(建築家)、磯崎新(建築家)、黒川紀章(建築家)、安藤忠雄(建築家)、ミシェル・リシャール(ル・コルビュジエ財団ディレクター)、ほか、と記載されています。通常の美術館の企画展とはちょっと異なる雰囲気が、ここら辺りからも感じられます。
あまり一般的なテーマで無いから、興味ないと思われる方も多いと思います。しかし、何らかの建築物を利用していない方はいないわけですから、利用者の視点で建築家の考え方を探るのも面白いのではないでしょうか。建築素人の私はもっぱらその視点です。日本の住宅事情をうかがわせるような一面も感じられて、そこそこに面白いです。
展示は次の10のせセクションで構成されています。丹念に見れば数時間かかると思います、私は何回か行くつもりなので、興味惹くところを跳び跳びに鑑賞しました。それでも二時間弱ほどかかりました。
セクション1:「アートを生きる」
セクション2:「住むための機械」
セクション3:「共同体の夢」
セクション4:「アートの実験」
セクション5:「集まって住む」
セクション6:「輝ける都市」
セクション7:「開いた手」
セクション8:「空間の奇跡」
セクション9:「多様な世界へ」
セクション10:「海の回帰へ」
ル・コルビジェのことはほとんど知らないに等しい状態です。本人が絵を描いていたことも知りません。ピューリズムを標榜していたようですが、多少考え方の変遷もあったようです。セクション1とセクション4で絵画が展示されていますが、特に興味を惹きませんでした。
私でさえも見聞きする有名なサヴォワ邸は、セクション2に展示されています。といっても、模型と図面類だったでしょうか。1931年竣工とのことですから、当時は随分とモダンな住宅だったことでしょう。現代に竣工なったとしても、まったく古さを感じさせないと思います。
セクション3ではソヴィエト・パレスのCGが圧巻。コンペに応募するも政治的な理由で採用されなかったので実物はありません。何かだだっ広い建物だとの印象を受けました。それにして、CGの発展は凄い。
人体の各部寸法を基準にするモジュロールという単位で設計された集合住宅の原寸大模型がセクション5に展示されています。マンションのモデルルームの感じ。ざっと見た限りで結構狭い感じがしました。日本の住宅事情に思いが跳びます。しかし、この辺りがル・コルビュジエの真骨頂なのでしょう。
セクション6、セクション7は、建築にとどまらず都市計画に至った計画や、唯一実現したインド・チャンディガールの例が模型や映像で展示されています。ここで疲れてきたので、後はさーっと見ることにしました。
有名なロンシャンの礼拝堂ほか、3つの宗教建築がセクション8に展示されています。ロンシャンの礼拝堂は歪んだ平面で構成されていて随分とユニークです。もっとも模型だから判ることで、実際には全体を一望できるわけでもありませんから、印象は結構変化するでしょう。興味の尽きないところです。他の宗教建築も面白い。
セクション9では海外のル・コルビジェの作品群。日本での唯一のコルビジェの建築物である国立西洋美術館についての説明もあります。芸術新潮の記事でその事実は知っていました。実物も何回見たことか。一つでも彼の作品が日本にあることは幸いなことです。
晩年の作品、カップ・マルタンの小屋は彼の妻のために建てた小さな小屋です。セクション10で実物大のセットが展示されています。元気も失せたのと待ち行列があったのでほとんど素通りでした。
後半はさっと通り過ぎたような感じです。会期中に何回か出かけるつもりですから、通り過ぎたところは次の機会に良く見ます。
国立西洋美術館の外観写真を添付します。おお、ル・コルビジェと感じます。ほんとかな。
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