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2007年3月10日 (土)

カフカ・変身

 カフカの「変身」は、次の書き出しで始まります。
 「ある朝、グレゴール・ザムザがなにか気掛かりな夢から眼をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な毒虫に変わっているのを発見した。(高橋義孝訳・新潮社版)」

 自分自身が巨大な毒虫に変わってしまうのもショッキングですが、それを自分自身の客観的な視線で「発見」してしまうこともまたショッキングです。どのような状況でしょうか。結論を冒頭で述べてしまうという、技術文書のような書き出しが一気に物語の世界へと誘い込みます。

 「松本修演出・MODE・変身」を、3月4日15:00~・下北沢すずなり、で観ました。
 「城」「審判」に比べてページ数の少ない「変身」は、長く演じても1時間半には届かないと思っていました。しかし、上演時間は2時間10分。開演前にそれを告げられて、すこし冗長なのではないかと思いました。しかし、終始、緊張感をとぎらせることはありませんでした。

 原作は戯曲ではありません。よって、どのように演出されるのか興味の尽きないところです。しかし、多少のユーモアを感じさせながらも、原作に沿って丁寧に演じられたと思います。好感のもてる演出です。

 どのように舞台が構成されるのか、それも興味の尽きないところです。光の加減でシースルーになる部屋の扉を中央にして、4部屋の関係をうまく表しています。原作からはどのような舞台になるかは想像が付きません。しかし、実際の舞台を見ると、これ以外にありようが無いと納得できます。

 ところで、冒頭にグレゴール・ザムザが虫になった表現があります。しかし、発見したのは観客である私です。と言うことは私が虫に変身したことになりそうです。虫になったのは私自身かもしれません。考えさせられる状況です。

 カフカが古典か否か、私は知りません。しかし、しっかりした原作のある舞台は良いですね。古典?のよさは、尽きることの無い生命力です。いや生命力があるからこそ古典?になりえるのでしょう。ようやく古典に芽生えそうです。

 「松本修演出・MODE・変身」は3月13日(火)まで。週末に出かけてみませんか。

 帰り際、女優Kを見かけました。このごろ舞台で見ることはないのですが、引退したのでしょうか。「ソーントン・ワイルダー・わが町」、他にも多くの舞台を見ました。また、舞台で見たいものです。

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