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2007年3月

2007年3月29日 (木)

私的名所・その4:丹州氷上のこと

 夕食前に缶ビール1~2本を飲むことは、楽しみというより習慣のようなものです。気分が良いと、さらに日本酒を少々追加して飲むこともあります。

 先日飲んだ日本酒のラベルに「丹州氷上之地酒」と書かれていました。「う~ん、丹州氷上・・・・」。

 『日本列島に降る雨粒は、ある場所では太平洋へ、またある場所では日本海へと流れ、お互いに再びめぐり合うことはない。この境界点を日本列島の北から南まで結んでできた一本の線が、中央分水界である。・・・・
 さらにこれに、瀬戸内海に注ぐ川と太平洋に注ぐ川の分水界など、中央分水界から分岐する主な支線を加えると、日本の分水界の主脈がすべて網羅できる。(*1)』

00910_17 分水嶺とも言うので、山の頂・尾根筋や峠が分水界のように思ってしまいます。それは、決して間違いではありません。しかし、本州の中央分水界のもっと低い場所は標高100mに届きません。それが丹州氷上、正式な地名は兵庫県氷上郡氷上町石生です。氷上町には分水界にちなんだスポット、水分れ公園、水分れ橋、水分れ街道などがあります。

00910_15_1 水分れ交差点から奥に延びる道が分水界です。写真の右側を流れる高谷川は、加古川を経て瀬戸内海に流れます。道路左側に降った雨は、由良川を経て日本海に注ぎます。何気なく歩いている路が分水界だなんて、結構、ロマンチックだと思うのですが、いかがでしょうか。

00910_09_1  水分れ公園の入り口で、石を並べただけで高谷川の水が日本海に流れ始める様子を 見ることができます。

 日本酒のラベルから、丹波笹山経由で氷上へ向かった、関西で生活していたある一日の ことが蘇りました。

 *1 『日本の分水嶺・堀公俊著・山と渓谷社発行』より引用
 

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2007年3月24日 (土)

NAOSHIMA STANDARD 2展のこと(その2)

Ticket 「NAOSHIMA STANDARD 2」を巡るチケットを購入すると、作品の展示場所を巡るための地図と巡った場所を確認するためのカードをくれます。カードはビンゴのように指で穴をあける形式になっています。チケットには紐が付いているので、カードの穴に通して首から提げるのが、直島スタイルのようです。

Dsc_0102  高松港を出たフェリーボートが直島・宮之浦港に入る直前、「赤かぼちゃ」が目に入ります。一目見て「草間彌生!」。森美術館・草間弥生展、横浜美術館「アイドル展」における草間弥生。越後妻有の「花咲ける妻有」。何を調べるわけでもなく見ることを重ねるのみですが、草間弥生が強烈に印象付けられてきました。難しいことはともかく、現代アートを身近に感じさせる草間弥生の存在は実に大きいと思います。

 直島八幡神社拝殿に置かれる上原三千代の木彫の猫二体、「直島の局」「八幡さんへの抜け道」はどこにでも展示できます。しかし、凛とした空気に満ちたこの拝殿がもっともよく似合いそうです。無機的な美術館が似合う作品もありますが、この作品はガラスのケースに収めたら興味半減です。作品を通して島の歴史や生活を感じさせることに意義あり、と思いました。

Dsc_0130  小沢剛の「スラグブッダ88」は、直島の現在を直視する作品です。直島南部の倉浦の野辺に置かれた小仏88体は、一時期、新聞を賑わせた豊島の産廃、その処理後のスラグで作られています。新聞を賑わすことの無くなった昨今でも問題が解決したわけではありません。その反面、産廃処理は直島経済に潤いを与えているようです。私たちが直面する問題を無言で提起するのもまた、現代アートの重要な役割と認識できます。

 川俣正の「向島プロジェクト」は今後の10年の活動が予定されているようです。その始まりですから、一般的な意味の作品があるわけではありません。川俣が住民票を向島に移して40年ぶりに人口が増えたとか、プロジェクトハウスが完成したとか、数十mの海を渡る船を貰ったとか。私はこういう話が結構好きです。今後10年を見つめたいと思いますが、若くはないから体力・気力の衰えとの競争になりそうです。負けないようにしましょう!!

続く(予定)

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2007年3月22日 (木)

私的名所・その3:仏には 桜の花を奉れ

 桜の便りが届きます。横浜では今月末あたりが見ごろのように思います。
 昨年は墨堤(東京・隅田川)を散策し、長い列に並んで名物・長命寺の桜餅と言問団子をお土産に買いました。音は、花より団子なのかも知れません。

 関西で7年有余を生活しました。既に関西を離れて4年に近くなりましたけど。私自身は根っからの横浜っ子ですが、桜の印象は関西の方が強烈です。

 京都円山公園の枝垂桜、特に夜がきれいです。ただし、人出は半端でありません。祇園へ足を延ばせば、舞妓さんとすれ違ったりして一層華やかな雰囲気を味わえます。まあ、歩くだけですけど。

 それから、西宮夙川堤、大原野勝持寺。吉野山も2回ほど訪れましたが、いずれも時期が多少遅くて残念な思いがしました。

90403_23s 私が一番好きだった所は大阪府南河内の弘川寺です。弘川寺には西行墳があります。

 1999年、2000年、2002年に訪れました。今は「日本全国お花見特集」にも掲載されています。しかし、当時は知る人ぞ知るといった感じだったように思います。寺の裏山の周遊路に沿って桜が続きます。植栽のようですが。

 寺内は静謐な雰囲気があふれていました。本当に桜を愛でる感じがありました。

   願わくば花のしたにて春死なん その如月の望月の頃
   仏には桜の花を奉れ 我が後の世を人とぶらはば

 西行の歌として傑出しているようには思えません。しかし、桜の一枝が奉られた西行墳に詣でてから散策を続ければ、行く春の印象がより深まります。

90403_27s 後になりましたが、桜の歓迎門をくぐって寺内に入ります。しゃれています。写真は、1999年のものを掲載しました。今は、随分と大きくなっていることと思います。

 さて、今年の春はどこに足を向けましょうか。

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2007年3月21日 (水)

単身赴任を終えること

 引越しの荷物を出し終わって何も無くなった部屋から外に目をやると、白銀に輝く山が見えました。小高い山の上の4階からは視界が開けます。知多半島の中ほどから北の方角に位置するので、木曽・御岳山ではないかと思います。名前は知っていても、その山容を知らないので確かなことは言えませんが。

Img_1066 二年の単身赴任期間でしたが出張が多く、恐らく半分ほどは不在にしていたと思います。週末にいることも少なく、ゆっくり外を見回すこともありませんでした。

 強い風が吹いていて視界が開けたのでしょうが、最後の日に意外な発見をした気持ちでした。視線を右のほうに移すと、白銀の山々も目に入りました。南アルプスでしょう。

 仕事内容が変わるわけでなく、今後は出張で知多半島の中ほどまで行くことになります。しかし、この風景を見ることはもうないでしょう。たとえ単身赴任であっても、その終焉には一抹の寂しさを伴います。

 もうすぐ荷物が到着するはずで、片づけが大変です。団塊の世代に属する私はもうすぐリタイアしますので、再び荷物を梱包することはないでしょう。

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2007年3月16日 (金)

NAOSHIMA STANDARD 2展のこと(その1)

 瀬戸内海に浮かぶ小島「直島」に行ってきました。「NAOSHIMA STANDARD 2」および地中美術館の鑑賞、それと少しの休養を兼ねて。

 直島は、一部の方にとっては憧れの場所のようですけど、興味ない方には皆目わからないでしょう。廃棄物不法投棄問題で有名になってしまった豊島、その西側に位置する島です。行政的には香川県に属します。岡山県玉野市の宇野港からフェリーボートで20分、香川県の松山港からフェリーボートで一時間ほどの距離に位置します。

 「NAOSHIMA STANDARD 2」とは、直島を舞台として2001年に開催された「THE STANDARD」展の第2弾です。「THE STANDARD」展は一度限りのイベントかと思っていましたが、昨年の越後妻有トリエンナーレに出かけた際に「NAOSHIMA STANDARD 2」の開催を知りました。まだ見ぬ地中美術館の鑑賞と併せて出かけようと、心待ちにしていました。

 「NAOSHIMA STANDARD 2」が何かについては、「直島スタンダード2 」、「NAOSHIMA STANDARD 2 への道」の両サイトを参照いただくのが最も理解が進むと思います。

Dsc_0089Dsc_0191_1 大竹伸朗「はいしゃ」は元歯医者の建屋を切り刻んだ(?)インスタレーションで、いかにも大竹らしい出来栄えです。「大竹伸朗 全景 1955-2006展」 で出逢った「自由の女神」がでんと収まっていました。直島町役場からほど近く、島の東西を結ぶ主要道路脇、ここに廃屋があるということは。
 

Dsc_0211_1 Dsc_0221 三宅信太郎「魚島潮坂蛸峠」は元床屋の建屋を使用したインスタレーションで、愛くるしい小蛸と親分風の大蛸が興味を惹きます。部屋を半分 に仕切った壁面の絵、背後の部屋にある4枚の絵。心温まる仕上がりで すが、思わず金子みすゞの「大漁」という詩が頭に浮かびました。

続く(予定)

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2007年3月10日 (土)

カフカ・変身

 カフカの「変身」は、次の書き出しで始まります。
 「ある朝、グレゴール・ザムザがなにか気掛かりな夢から眼をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な毒虫に変わっているのを発見した。(高橋義孝訳・新潮社版)」

 自分自身が巨大な毒虫に変わってしまうのもショッキングですが、それを自分自身の客観的な視線で「発見」してしまうこともまたショッキングです。どのような状況でしょうか。結論を冒頭で述べてしまうという、技術文書のような書き出しが一気に物語の世界へと誘い込みます。

 「松本修演出・MODE・変身」を、3月4日15:00~・下北沢すずなり、で観ました。
 「城」「審判」に比べてページ数の少ない「変身」は、長く演じても1時間半には届かないと思っていました。しかし、上演時間は2時間10分。開演前にそれを告げられて、すこし冗長なのではないかと思いました。しかし、終始、緊張感をとぎらせることはありませんでした。

 原作は戯曲ではありません。よって、どのように演出されるのか興味の尽きないところです。しかし、多少のユーモアを感じさせながらも、原作に沿って丁寧に演じられたと思います。好感のもてる演出です。

 どのように舞台が構成されるのか、それも興味の尽きないところです。光の加減でシースルーになる部屋の扉を中央にして、4部屋の関係をうまく表しています。原作からはどのような舞台になるかは想像が付きません。しかし、実際の舞台を見ると、これ以外にありようが無いと納得できます。

 ところで、冒頭にグレゴール・ザムザが虫になった表現があります。しかし、発見したのは観客である私です。と言うことは私が虫に変身したことになりそうです。虫になったのは私自身かもしれません。考えさせられる状況です。

 カフカが古典か否か、私は知りません。しかし、しっかりした原作のある舞台は良いですね。古典?のよさは、尽きることの無い生命力です。いや生命力があるからこそ古典?になりえるのでしょう。ようやく古典に芽生えそうです。

 「松本修演出・MODE・変身」は3月13日(火)まで。週末に出かけてみませんか。

 帰り際、女優Kを見かけました。このごろ舞台で見ることはないのですが、引退したのでしょうか。「ソーントン・ワイルダー・わが町」、他にも多くの舞台を見ました。また、舞台で見たいものです。

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2007年3月 4日 (日)

神武寺・鷹取山ハイキング(神奈川県横須賀市)

 2月25日、神武寺・鷹取山ハイキングに行ってきました。18日の田浦梅林の観梅ハイキングに続いて小ハイキングです。昨秋から、仕事や家の中の用事が重なってハイキングもいけない状態だったので、少しづつ足を慣らし本格的なハイキングにまた出かけようと思っています。

 京浜急行・神武寺駅下車、横浜方面から行けば、駅前の道を10分ほど戻るようにして山道に折れます。わかりにくいので要注意。

 その間、左手には「池子の森」が広がっています。「池子の森」には長いこと人手が入っていないので豊かな自然が残っているそうです。とは言うものの日米軍事施設があって、一般人が立ち入ることはできません。残念なことですが。

 神武寺駅から30分ほどで神武寺に到着します。山の中の小寺で、正式には医王山来0052_1 迎院神武寺と言う天台宗のお寺です。風は強いものの春の日差しの中で、堂宇からはおだやかな印象を受けました。
どなたが選んだかは判りませんが、三浦半島八景の一つが「神武寺の晩鐘」です。立派な鐘付堂もあります。傍らに六地蔵が静かにたたずんでいます。

 ちょっとした鎖場のある路を30分ほど歩くと鷹取山に到着します。まず目に付くのが、ロッククライミングの練習をしている光景です。ざっと見た限りですけど、男性より女性の方が多く、若い人より年配の方が多いように思います。

 ひときわ高い位置にある展望等からは四方に視界が開けます。東は東京湾、西は丹沢山塊から富士山、南は三浦半島の山々、北は横浜ランドマークタワー・ベイブリッジ。

0055_1  京浜急行追浜駅に向けて下ります。途中、磨崖仏の交脚弥勒菩薩像を拝みます。山道はさほど続かず、大きな団地に入り込みます。後は、住宅街の歩道を駅に向かいます。神武寺から追浜駅までは正味2時間ほどの行程になります。

 小学校の遠足で鷹取山に行った記憶があります。確かなことは覚えていませんが、もっと山深かったように思います。子供の足ですから今とは大きく異なった感じだったのかも知れません。でも、住宅地が山を狭めていったのは確かです。半世紀ほど時間の経過は、自分自身も、取り巻く世界も大きく変えていきます。

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