大地の芸術祭に行くこと
「大地の芸術祭 -越後妻有アートトリエンナーレ2006-」に2泊3日の予定で行ってきます。「妻有」と書いて「つまり」と呼びます。会期は、7月23日~9月10日の50日間。
「大地の芸術祭」は、新潟県南部の十日町市と津南町の大地を舞台にして、3年に1度開催され、今回で3回目です。平成の合併で1市1町になりました。が、前回開催の時点では、十日町市、川西町、津南町、中里村、松代町、松之山町の1市5町でした。その広さは762平方キロの広大な山間部に及ぶそうです。
スキー場も舞台の一部ですが、このあたりは豪雪地帯で冬の厳しさは大変なものがあるようです。それと同時に高齢・過疎化の進む日本の典型的な地方の市町なのです。
2000年は私だけで2日間、2003年には家族連れで2日×2回出かけ、いずれも大きな感動を頂いて帰ってきました。2003年は回りきれない所も多く、あまりにも刺激的だったので、予定外の2回目を挙行することになったほどです。
「大地の芸術祭」を一文字で表わすとすれば、私は「悲」を選択します。住む人のいなくなった古い家、通う生徒のいなくなった学校、人の少なくなった集落、みんな重要な舞台です。日本の未来を象徴しているようで悲しさを誘います。しかし、そういうことを乗り越えて、国内・国外から馳せ参じた芸術家と地域の人たちが、共同して作品を作り上げていく姿が実に感動的で、エネルギーを与えてくれます。失礼ながら、芸術などとは縁遠かった人たちが、外来者に反発しながらも次第に芸術にのめりこんでいく様子などを見聞きすると、既存の芸術の存在意義に大いなる疑義も沸いて来ます。
学生中心のボランティア、地域の人たちのボランティア、そういう人たちとのコミュニケーション、時にはお茶や漬物などのご接待も、大いなる楽しみです。そういう人たちを含めて、主役はどうも越後妻有に根付いて生活している人たちではないかと思えます。芸術家は作品を生み出す触媒、それを見て回る多くの参加者は「大地の芸術」を巡り歩くお遍路というところでしょうか。
「大地の芸術」はとても紹介し切れません。公式ホームページあるいは雑誌・美術手帳2006年7月号増刊「越後妻有アートトリエンナーレ2006 大地の芸術際ガイドブック」を参照願います。
写真を沢山撮ってくるつもりです。行ってきたら追ってご紹介します。
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コメント
地方を問わず、美術鑑賞へと行動が出来、その上、文章にて読みの深い丁寧な伝達作業がなされることに、感服しています。
気侭に一人での時間を過ごすことで、自分に
充実感を感じているーちっぽけさーがいじらしくもありますが、わたしなりの無理のない生き方でいいのだ、と自分を納得させています。
何か触発されて、制作への意欲へと繋がる様に感じます。
投稿: Maki | 2006年8月30日 (水) 22時26分
コメントありがとうございます。
多少は行動的であるかも知れませんが、何をとっても鑑賞する側でしかありません。ですから、絵でも彫塑でも製作する側である方をうらやましく思います。音楽でも、何か楽器を演奏できれば良いと思います。さすがに、演劇やダンスになると鑑賞する側の方が似合っているとは思いますが。
文章にすると多少誇張されてしまう面があるかも知れません。なるべく客観的に表現しようと思っていますし、その気も無いのですが、思っていることを素直に表現することは難しいです。
私にできることは、芸術分野に限らず見聞きしたことを、感想を含めて伝えることかなと思います。これからも、気が向いたらコメントをつけて頂きますようお願いいたします。
投稿: F3 | 2006年9月 5日 (火) 00時40分