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2006年8月20日 (日)

続々・利賀フェスティバル2006のこと

 12日の各演目の感想などをまとめてみます。

3. 人と犬(中国)         新利賀山房  16時開演

 「人と犬」の後に「は餌(対価)によって行動する」とでも付けたら大筋は説明できそうです。それを人と犬、人と犬と兎の関係性においてコミカルに表現しています。5枚の布幕が舞台を前後に仕切り、そこから出入りしたり、シルエットを写したりして変化をつけていましたが、表現は直接的です。
 男優3人、女優1人で、みな若手。所属は上海話劇芸術センター、内容からも地域からも中国演劇の先端を行っているのでしょう。おかれた状況を想像すれば、このあたりが表現の限界かと思います。これからどう発展するのでしょうか、楽しみです。

4. 廃車長屋の異人さん(日本)   特設野外劇場 20時開演

 ゴーリキ「どん底」がテキスト。大規模な自然災害が大恐慌がおきたと考えたら「どん底」と美空ひばりに至ったと鈴木は演出家ノートに書いています。そのような言い回しでなくとも、一部の現実が「どん底」に近づいていることを感じとっていると思えます。中流も分化し、大病でもすれば明日の暮らしに困る、その象徴が廃車長屋。鈴木の演劇では演歌が重要な役割を担いますが、美空ひばりはどん底から這い上がることのキーワードでしょうか。
 俳優多数、中心は静岡芸術劇場のメンバーですが、3人ほどスタイルの異なる俳優がいました。劇団クナウカからの客演のようです。もう長いこと観ているから大いに興奮もしないけど、決して白けさせもせず、安定した演技で迫ってきます。近代演劇の重厚さも良く伝わってきました。

5. カチカチ山・花火版(日本)   野外劇場   21時半開演

 カチカチ山のストーリーはどなたも承知でしょうが、もとの内容は多くが承知するよりはずっと残酷なお話なのです。太宰治「御伽草子」中の「カチカチ山」がテキスト、テキストは「カチカチ山の物語に於ける兎は少女、そしてあの惨めな敗北を喫する狸は、その兎の少女を恋している醜男。」で始まります。
 状況は鈴木演出のキーワードである病院に置換され、世界は病院、人間はすべからく精神の病人であるという通奏低音が根底に流れています。ですから少女は看護婦、それも醜男を徹底的に痛めつけて殺してしまうしたたかな性格の。
 ストーリーを進行するうえで演歌が重要な役割を担います。端から「太平洋行進曲」「北酒場」「宗右衛門町ブルース」「浪花節だよ人生は」「心のこり」「夫婦春秋」「十三夜」「別れの磯千鳥」「出世街道」「気味こそわが命」「函館の人」「人生の並木道」が使われます。そして要所で花火の打ち上げ。
 花火を打ち上げるために野外劇場を使っている訳ですが、オリジナルは確か新利賀山房で上演されています。演劇としてはオリジナルのほうが凝縮していますが、会期前半を締めくくるご祝儀物ですから硬いこと抜きで楽しみました。
 これだけでは、どうも支離滅裂と感じる方も多いでしょう。私の限界ですが、実際に支離滅裂か否かは、一度、ぜひあなたの目で確かめてください。

 

 頼りない感想ですが、利賀フェスティバルの雰囲気が多少でも伝われば幸いです。

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